コップ一杯の水をあげよう

危険が最高潮に達した時、または闘うことも逃げることもできない時、身体は固まってしまいます。猫に捕まったネズミが死んだふりをするように、身体と思考の動きが止まって、苦痛を感じないよう麻痺してしまうのです。

脅されたり、平手打ちをされたり、お尻を叩かれたりして子どものかんしゃくが止まるのは、「落ち着いた」からではありません。動けなくなって、固まっているのです。

依然としてストレスは消えていないため、少しするとまた爆発してしまいます。

攻撃性、逃避、行動不能は、子どもの脳が限界を超えているしるしで、もう考えることはできません。そんな時、子どもはまず、自分の脳を落ち着かせる必要があります。子どもの脳を落ち着かせるために、次のようなことを参考にしてみてください。

子どもの脳内のストレス緩和に役立つもの

・身体の接触、優しさ、親の安心させる声、愛着の表現
・深くておだやかな呼吸
・内部感覚(身体の内部からの刺激源によって身体内に起こった変化を感じ取る感覚)へ関心を向けること
・感情表現の受け入れ
・コップ一杯の水
・木や草の緑を見る
・運動(歩く、走る、大きくゆったりした動き)
・音楽、笑い……

たった数秒の接触で幸せになるオキシトシン

子どもはおなかが空いたり、喉が渇いたりしていると、怒りっぽくなることをみなさんご存知だと思います。

けれど、幼いおちびさんにはビスケットや飲みものをあげたりするのに、8歳になった子どもがかんしゃくを起こしているのを見て、水を飲むようすすめるということはなかなかしません。

子どもがいらだって、バカなことをしたり、攻撃的だったり、乱暴だったり、怒鳴ってドアをバーンと閉めて部屋に引きこもっていたりする時、ぎゅっと抱きしめたり、一緒に遊ぼうと言ったりはもっとしませんね。

ですから、こんなふうに決めてみましょう。今度子どもがかんしゃくを起こしたら、深呼吸して、優しく笑いかけ、水の入ったコップを差し出す。子どもの感情に耳を傾けて、一緒に散歩に行く。笑いかけながら近づいてさりげなくそばに座って、遊ぶ……そして様子を観察する。そう難しいことではありませんよね?

ヒント

体の接触、つまりふれ合いはたった数秒で、幸福ホルモンまたは愛情ホルモンと呼ばれるオキシトシンの分泌を引き起こします。
6歳から11歳の子どもはオキシトシンが必要で、日常生活のストレスに立ち向かうために、まだたくさんの身体の接触を必要としているのです。
脳にストレスを受けた子どもは、学校の勉強でも苦労します。ですから、わが子が明日の授業の発表の準備をする前には、抱きしめてあげたり、マッサージをしてあげたり、ベッドの上でじゃれ合ったりすることがおすすめです。