なぜ子供はなかなか宿題をやらないのか。教育ライターの加藤紀子さんは「人には自分のことは自分で決めたいという本能がある。『勉強しなさい』というほど、やらなくなってしまう。叱るのではなく、どうすれば知的好奇心を伸ばせるのかを考えたほうがいい」という――。

※本稿は、加藤紀子『ちょっと気になる子育ての困りごと解決ブック!』(大和書房)の一部を再編集したものです。

なぜ子供はなかなか宿題をやらないのか

「『宿題は?』と何度も言わないといけないので疲れる」「机に座ってから取り掛かるまでの時間が長くて、見てるだけでイライラする」

子育ての悩みで非常に多いのがまさにこれ。なぜ子どもは、やらなくてはいけないことをすぐにやろうとしないのか。

やるべきことをやってから自由に過ごせばいいのに! と、こんな当たり前のことが通用しない子どもに不満が爆発。つい「勉強しなさい」とガミガミ言い続ける怒りの連鎖に陥ることってよくありますよね。

子どもは子どもなりに、学校で勉強したり、友達と遊んだりしながら、毎日さまざまな体験をしています。「今日も1日、いっぱいがんばった」と思っています。だから、宿題をやるべきだとわかっていても、その前に「ちょっとゆっくりしたいな~」という気持ちなのです。

でもなぜ「ちょっと」が「ちょっと」ではなくなってしまうのか。

心理学的にいうと、こうした状態のときに「宿題は?」とか「勉強しなさい!」などと言われるとかえってやる気を削がれ、勉強したくなくなるからです。

これは「心理的リアクタンス」と呼ばれる事象です。リアクタンスとは“反抗”のこと。人は生まれながらに、「自分のことは自分で決めたい」という欲求を持っているため、他人に決めつけられると嫌悪感を覚えます。そして、たとえ言われていることが自分でも正しいとわかっていても、無意識に反発します。

つまり、親から指示をすればするほど、子どもはますますやりたがらないというのは、むしろ自然な反応なのです。