子どもは親が嫌いで避けているわけではない
わが子にドアを閉じられると、自分自身が子どもの頃に親から拒絶的な反応を受けていた親は、内面に確固とした安心感がないため、子どもに嫌われていると思って防御姿勢で対応してしまう恐れがあります。
考えるより前に、海馬(かいば=扁桃体のすぐ横にある小さな脳の組織で、記憶を司る部分)が危険を思い出し、大脳周辺部(感情の分野)を活発化させ、前頭前野の働き(思考)を抑制してしまいます。
そのため自分の子どもに注意を向けるより、自分自身を守りがちになり、子どもから離れるか、怒り出してしまうのです。
親から関係修復のために動こう
このような逃避を正当化するために、こうして距離を取ることが自然であり、さらには教育的なのだと主張する親もいます。
「あの子も1人になりたいのだろう」とか「1人になって自分の部屋で何かするのが好きな子だから……」と。
実際には、その親は自分自身の親の姿をわが子に投影しているのです。子どもの部屋に入っていくことも、抱きしめようとすることもできません。それほど新たな拒絶にあうのを恐れています。それは、子どもの頃、親に近づこうとして手痛く拒否されたからなのです。
アドバイス
うちの子は、私の視線を避けているのかな? そう思うことはありませんか? 避けているのではなく、訴えているのです! 子どもが期待しているのはたった1つ──親が親子間の関係を修復してくれること。
抱きしめる、遊ぶ、笑う、マッサージする……。子どもに捧げる時間が、きっと親子の絆を回復してくれるはずです。でもその前に、拒絶されたり泣かれたりするかもしれません。
子どもが心の扉を閉めてしまうのは、親がその障害を乗り越えて来てくれるのを待っているから。自分のほうから働きかけて、がっかりさせられ、またつらい思いをするかもしれないと恐れているから。
子どもはそうやって自分の心を守っているのです。親が信頼に背いたり、約束を破ったり、理不尽に罰したりしても、子どもは常に親を許したいと思っています。子どもはいつだって自分が愛されていると感じ、親とつながっていると感じたいのです。