中国国内でもmRNAワクチンを開発しているが…

――2600万人の上海市民に無料配布した薬が効果なしというのはなかなかショッキングですね……。

もう一つ、mRNAワクチンの認可に消極的だったことも大きな問題でした。中国国産ワクチンは早期に開発が完了し接種されてきましたが、世界的に主流になっているmRNAワクチンと比較すると効果は落ちます。

メッセンジャー リボ核酸
写真=iStock.com/niphon
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――なぜ消極的だったのでしょうか? 英紙フィナンシャルタイムズは、中国政府はモデルナのワクチン輸入の条件として技術移転を求めたため交渉が決裂したと報じています。外国に依存するのを避けたかったということでしょうか?

実は中国にもmRNAワクチンを開発している企業は複数あり、海外で認可されたワクチンも存在します。ところが中国国内では一向に認可されないままです。「海外のmRNAワクチンは高熱などの副反応が出る。中国の国産不活性化ワクチンならその心配はない」と、むしろmRNAワクチンよりも良いのだと宣伝してきたほどです。

「mRNAワクチンは不要、今の不活化ワクチンでいいんだ!」という宣伝に、中国政府自身ががんじがらめになって、自分で自分のクビを絞める結果になったのだと推測しています。

政策の急転換で感染者が爆発する恐れも

――感染者数が激増しているとみられる中国ですが、今後どうなるのでしょう?

BF.7が広がっていること、またこれまで感染者がほとんどいなかったため自然免疫を獲得している比率がほぼゼロであることから、急激な感染拡大は防げないでしょう。

また、「オミクロンはほとんどが無症状、怖くない」と、政府や専門家が積極的に情報発信するようになった影響もあります。パニックを避けるためなのでしょうが、これまではコロナは恐い、対策を緩和するとバタバタ人が死ぬと言っていたのにいきなりの手のひら返しです。

こうしたメッセージは地方ごとに濃淡があり、中央政府のお膝元である北京市では特に「どれだけ感染者が増えても日常生活を続けましょう」という強いメッセージが出ているように思われます。

その結果、コロナに感染しているのに出勤する人が続出していると聞いています。他国と比べても極端な状況で、これでは感染が急拡大しても不思議ではありません。今まで「コロナ恐い、コロナ恐い」を連呼していた御用医師たちが「コロナは風邪、心配なし」と言う一方で、「いつまでもゼロコロナは続けられない」と発言していた張文宏医師が「とはいっても正しく恐れないとダメですよ」と釘を刺すという逆転現象が起きています。忖度そんたくしないで発言している張医師はさすがです。