大切な面談当日に二日酔いで大寝坊

社会人になったらもう長い休みなどとれまいと、無計画にアメリカ旅行に出かけたんです。その間にACQUAから自宅に連絡が入っていた。「君は補欠合格なんだから、すぐに来て」と。海外にいて簡単に連絡が取れるような時代ではありません。たまたま、アメリカから実家に電話をしたら家族が慌てふためいていて……。それでも、“まあ一カ月の行程でチケットも取ってしまったし”と、全日程を終えてから帰国。

そのあとのACQUAの反応は、当然ながら激怒です。「すみません!親が倒れて……」と(笑)。

――何日くらい待たせたの?

2週間くらいですね。完全にやる気がないと思われますよね。

――ACQUAにしてみると、代わりはいくらでもいるからね。

次の日、新幹線で東京へ飛んでいくも、前日深夜まで家族と続いたちょっと気の早い就職祝いの酒が響き、まさかの寝坊。東京で17時に面談の約束をしていたにも関わらず、16時に起床しました。家は奈良です。これは行っても怒られるだけ……と行くのをやめてしまおうかとさえ思ったのですが、二日酔いのぼうっと加減がうまく作用し、気がついたら新幹線に乗車していました。「また母が……」なんて電話を先方にいれたところ、ちょうどその日が土曜日だったこともあって、サロンは大繁盛の様子。「どうせ17時に来てもらってもお前の相手なんてできない。忙しいから切るぞ」と。

――運がありますね。

はい。そんなこんなで到着は8時。さすがにサロンも空いてきています。そこにちょうど居合わせたのがACQUAの社長。社長は幸いここまでの事情はわかっていません。店長はまだバタバタしていたので、自然な流れで、社長が面談をしてくれることになりました。

――これまたツイてた。

そう。面接になれば強い。得意の口八丁です。1年しか経験していないのに、「建設業界でも働いていて」なんていうことをしきりにアピールすると、社長から店長へ「おい、こいついいじゃん!」の一言。店長も何も言えずに、採用となりました。

――危機一髪だ(笑)。

ほんとになんとか。その後は自分で言うのもなんですが、真面目にコツコツと働いたので、この時のことも大目にみてくれています。

――はまると真面目にやるタイプなんですね。

そうですね。ここまでコネとかが多かったので、社会とか仕事に関してもよくわかってなくって、なんとなくやっていればなんとかできちゃう、そういうもんなんだと思っていたんです。けれど、実際働いてみると全然できない。

ACQUAっていったら全国から超一流の人ばかりがきていて、モチベーションも自分と全然違った。だからそういう中で揉まれながらやっていて、自分も一流の仲間と肩を並べえてやっていきたいと感じて、その頃から考え方が変わっていったんだと思います。

(後編に続く)

(柴田励司=聞き手 高野美穂=構成)