「宇宙戦争」が始まっている

近年、宇宙での争いが激しくなってきているんだ。

といっても、宇宙で戦うワケではなく、広い宇宙の空間にどれだけ人工衛星や高機能なコンピューターを置けるか? で競っているよ。その理由はエアパワーと同じで、「相手より高い場所をとると、戦いが有利になるから」なんだよ。

いままでは「高いところ」といえば「空」で、飛行機を使って相手を監視していたんだけど、現代ではさらに高い「宇宙」から、衛星を使って敵の動きを見るのが当たり前になってきているんだ。

アメリカは陸海空の次の戦場は宇宙になると考えていて、「アメリカ宇宙軍」をつくった。この軍隊は人工衛星を管理したり、それを使って相手の国を見張ったりしているよ。日本も2022年に宇宙作戦群をつくっているよ。

人工衛星の種類はさまざまで、敵の国がミサイルを撃つ準備をしていないか見張るもの(偵察衛星)や、軍隊の作戦や命令をやりとりするためのもの(軍事衛星)もあるし、スマホでもおなじみのGPSや、他国の弾道ミサイルの落下地点などの予測もすべて人工衛星から送られてくるんだ。地政学から見ると、これからの時代、より有利な立場に立つためには「宇宙という空間を支配する」ことも大事になってくるんだね。

武器を使わないでダメージを与える「サイバー攻撃」

サイバー攻撃って聞いたことがあるかな? かんたんにいえば、相手のサーバーやコンピューターに侵入して情報を盗ぬすんだり、壊したりすることなんだ。直接の攻撃にくらべてあまり効果がないように感じるかもしれないけど、じつはとても危険な攻撃なんだよ。

いつかやる社長『90枚のイラストで世界がわかる はじめての地政学』(飛鳥新社)
いつかやる社長『90枚のイラストで世界がわかる はじめての地政学』(飛鳥新社)

ぼくらはさまざまなものを、コンピューターに頼って生きているよね? それは国も同じ。電気や水、ガスのような生活に必要なものから、警察や軍隊の情報まで、ぜんぶコンピューターに頼っているんだ。

これがサイバー攻撃されたら……? 生活に必要な電気や水が使えなくなり、軍の作戦もすべて相手に筒抜けになってしまう。そうなればどんなに強い軍隊があっても無意味になるよね。コンピューター時代のいま、サイバー攻撃は1つの強力な武器になっているんだ。

サイバー攻撃は、「好きな場所を好きなときに攻撃できる」という部分も特徴だ。他国を攻撃するときは、軍隊か兵器が必要だけど、サイバー攻撃の場合、たった1台のコンピューターがあれば攻撃ができる。さらに、世界中にコンピューターがあるために、犯人を特定することもむずかしい。

現代ではいままでの地政学、つまり地の利を生かした作戦では考えられない攻撃ができるようになったんだ。