国公立医学部合格者数トップは愛知の東海高校

現役で私立大学の医学部にしか合格できなくても、1年がんばって国公立大学の医学部に合格すれば、十分過ぎるほどペイすることになる。2浪でさえ国公立医学部に入ればペイする。また、医者になったあとも高校の同窓のネットワークは何かと助けになるので、医者になるなら同業の卒業生が多い高校を卒業するメリットは大きいだろう。

国公立医学部合格者数トップは15年連続で愛知県の仏教系男子校の名門私立中高一貫校の東海高校で123人、2位が九州のキリスト教系男子校の名門私立中高一貫校のラ・サール高校で76人である。率で見ると、このラ・サールと北海道の私立中高一貫校の北嶺が上位2校となる。

じつは国公立医学部は、ラ・サールや北嶺、四国トップの私立中高一貫校の愛光、長崎の私立中高一貫校の青雲などの地方の寮のある学校が非常に強い。これはどういうことかというと、中学受験が盛んな地域は首都圏や関西などに限られており、日本の地方には進学実績のいい私立中高一貫校などないことがふつうである。

しかし、そうした私立中学のない地方でも、開業医の子供たちは将来の国公立大学医学部の入試で中学受験を経験した都会の猛者たちと戦わなければいけない。だから、開業医など教育熱心で資金も潤沢な地方の家庭では、こうした寮のある名門私立中学を目指して小学生のころから子供に勉強させているのだ。

全国から開業医の子弟が集まってくるため、こうした寮のある地方の名門校は、必然的に卒業生の多くを医学部に送り出すことになる。

県民当たりの京大合格者数は奈良県が1位

戦争でも二正面作戦は避けなければいけないとされ、東大・京大のふたつを同時に攻め落とすことは難しい。国立大学は1校しか受けられないので戦力が分散されてしまうから当然である。国公立医学部も含めた三正面作戦ともなればなおさらだ。しかし、これらの表を見ると、灘、東大寺学園、西大和学園、甲陽学院の4校はすべてにランクインし、三面に戦力を展開し勝利していることがわかる。

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ちなみに、西大和学園、東大寺学園は共に奈良県の学校で、じつは県民当たりの京大合格者数は奈良県が1位で東大でも2位である(東大は東京都が1位)。東大・京大合わせれば奈良県が全国トップとなる。これは大阪や京都が通学圏となっている西大和学園、東大寺学園が奈良県にあるからだ。

大学進学率が日本で最も低い県のひとつである鹿児島県も県民当たりの東大進学者数では全国7位に来るが、これは寮があり全国から優秀な生徒を集めるラ・サールの受験生が多数合格するからである。これほどまでに東大合格者の出身校は全国の少数の高校に偏っているのが実情である。

この東大のランキングに載っている36校の合格者数を足し合わせると1570人となり、東大合格者数約3000人の50%以上となる。日本の高校の数は約5000校なので、東大生の半分以上はこれらたった0.7%の名門高校出身である。

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