歴史への理解ではなく誤解を広げている
こうして指摘しだすとキリがないが、話を戻すと、大河ドラマはフィクションであるということを、視聴者は覚えておいたほうがいい。とりわけ個々の人物の感情描写は、ほとんどが現代劇のそれである。だからこそ現代人が観て面白いのであって、それは否定すべき材料にならないだろう。
しかし、そのことをわかっていたとしても、大河ドラマに登場する多くは、歴史上に実在した人物であり、現実に起こった事件がドラマ化されている。だから視聴者の頭には、「北条義時」や「源実朝」等々の人名や「承久の乱」といった歴史用語が、ドラマで描かれた通りに記憶されてしまう。
大河ドラマを通して歴史への興味を深める人は多い。それは歓迎すべきことだが、残念ながら、歴史への「理解」ではなく「誤解」を深めてしまう視聴者もいるはずだ。それだけに「みなさまのNHK」には、史実の扱いにはもう少し慎重になってほしいのである。