コロナ禍で小中学生の不登校者数は24万人を超えた。親や学校はどのような対応をするべきなのか。小学校教員の松尾英明さんは「不登校は決して問題行動ではなく、子供による選択の結果。それなのに多くの学校は、登校刺激を与えればいずれ学校に来る、不登校の子供が学校に来るようになることが善、という古い考えのままだ」という――。
学習机の上の赤い学校のバッグ
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「不登校の子が学校に来るようになることが善」という学校の認識は正しいのか

小中学校の不登校の児童・生徒数が24万人を超えたということが大きな問題となっている。なぜ、これほどまでに増えたのか。教育現場がするべきことは何か。現場教師のひとりとして意見を述べたい。

あくまで私見だが、不登校は「問題行動」ではなく「選択の結果」だ。不登校自体が問題行為とみなされがちだが、その認識自体を改める必要がある。大人も子供も、人としてベストと思う選択をしている。よって、不登校という選択肢を奪うこと(何とか登校させようとすること)は、根本的な問題解決にはならない。

多くの学校や教師が陥りやすいのは「不登校の子供が学校に来るようになることが善」という認識である。しつこいほどに家庭への連絡と訪問を繰り返し、無理矢理にでも来させようと、教育委員会から学校、担任と一体になって奮励努力する。それらが成功するケースもあるだろうが、むしろ症状を悪化させる恐れがある。経験上、筆者には「ダメな不登校対策の典型」に映る。

効果がないと担任は「自分の努力不足だ」と自らを責め、疲弊し、さらに過密に対応を強めていく。学校側は「どうしたら来たくなるの?」と尋ねるが、子供からすれば「そもそも行きたくない場」と思っていることが多々ある。

現在の、特に公立の学校制度の在り方を見ると、子供がこのような認識になるのはおかしなこととは思えない。せっかくがんばって学校に行っても、やれテストだ、競争だ、コンクールだ、ああしろこうしろ次はこれだ、と急かされ続けた結果、疲弊し絶望してしまうこともあるのは理解できる(これは、教師の側の燃え尽き症候群にも通じる)。

今の学校が目指すべきは、過密日程を緩め競争を煽らず、多くの子供が来たくなるような学校制度に改革していくことである。それでもそこに当てはまらない子供は一定数存在する。だからこそ、今はオルタナティブスクール(フリースクールやホームスクール、無認可校も含め総称)のような存在が大きく注目されているのだろう。