医学部を廃止し、妙なギルド意識を解体する
それでは、このような状況をどうすればいいのか。
根本的には、高すぎる診療報酬の引き下げ、医師独占領域の縮小、勤務地や診療科を本人の希望でなく職務命令で配分できるようにするなど、医師が「オイシすぎる職業」であることの解消が必要だ。
しかし、今回は医学部のあり方に限定して提案をしたい。まず、医学部を廃止し、医学、歯学、薬学、介護などを包括した「健康学部」といったものに再編して、医師になる専門教育は大学院レベルのメディカル・スクールでするべきだ。
ここには、他学部からの編入も、予備コース受講などを条件に認めるべきだ。現在の医学部は、他学部卒業者に一回生からやり直させることが多いが馬鹿げている。
また、メディカル・スクールを終えても医師国家試験は現在のような高い合格率にせず、さらに選別すべきだ。ロースクールを出ても確実に弁護士になれるわけではない。
ともかく、18歳の学力だけで、本人の適性などと関係なく医師になれることがほぼ確定する現在のシステムはおかしい。また、単科医大はもちろん総合大学でも、医学部生が他学部の学生と一緒に講義やサークル活動といった学生生活を送ることが少なく、妙なギルド意識に染まりがちだ。同じ学部の同級生以外とも過ごすことが多くなれば、医師とほかの医療従事者の悪しき身分差意識も緩和するだろう。
このような抜本的な医学部改革を行うことが、現在の日本の医療を巡る諸問題を解決する一手になると考えている。