「健全な意見の衝突」は、チームの成長に欠かせない
健全な衝突とは、価値あるゴールに向かって、多様な意見が出尽くしている状態を指します。私たちのチームの会議でも、発言をしていないメンバーに意図的に話を振っていきます。もし「ちょっとズレているかも?」と思う意見があっても「理解したいから聞くんだけど、もうちょっと教えてくれないかな?」とこの言葉を使ってみると、たくさんの人の意見を引き出しやすくなります。
この「おかえし言葉」に加えて、均等な発言量を目指したり、比較的経験の浅いメンバーから順に意見を聞いていくと、発言が出やすくなるでしょう。
「なぜ、できなかったのか」を聞いてはいけない
○ やってみてわかったことを、一緒にふりかえってみよう
成果や進捗を報告・共有する会議の場を想像してみましょう。
なかには思ったような内容ではないものもあるでしょう。そんなとき「なぜ、できなかったのか?」を聞くことは心理的安全性のためにも、会議の活性化のためにも、さらには成果を上げるためにも、実は有効ではありません。
「なぜ?(Why?)」と聞かれたら思考が止まり、「すみません」と謝罪や後悔が出てきてしまいます。
「なぜ」を問う代わりに「なに」「どこ」を聞いて状況把握をしたほうがいいのです。
ここでは、取り組みの後の“収穫”について、たずねるやり方を紹介します。
この言葉かけの目的は「行動をした本人」しか知り得ない体験や情報を言語化してもらい、会議の場で共有することです。その共有を通じてチームと本人の学びを深めることが狙いです。
ですから、成果が出た場合であっても、この問いかけは役に立ちます。
具体例で考えてみます。人材開発などを担う課で、新人研修を担当したメンバーがいたとしましょう。
「今回の研修、あまり参加者から意見が出てこなかったね。なんでなの?」と成果について問い詰めても
「はい……すみません」とか「今年の新人は大人しくて……」と返ってくるだけでしょう。
そうではなく、次の例を参考にしてみてください。
「今回の新人研修、やってみてわかったことを、一緒にふりかえってみよう」
「そうですね。思ったように新入社員から意見が出てきませんでしたが……参加者同士の会話を聞いていると、○○という問いかけが、実は答えにくいようでした」
「なるほどね。どういう問いかけをすると答えやすそうか、一緒に考えてみよう」