「医療という名の地獄絵図」が広がっていた
それまでの私は、自分の医療知識を深め、医療技術を磨くことこそが「善」だと思っていました。
そうすることが患者さんのためになることだ、国民の幸福に貢献することなのだ、とまったく疑っていませんでした。
しかし、療養病院の大部屋で、ただただ白い天井を見つめたまま寝たきりの高齢者がずらっと並んで胃ろうから栄養を入れられている光景を見たとき、それまで自分が磨いてきた胃ろう造設術などの医療技術や医学的知識が「善」に思えなくなってしまったのです。
抱いていた世界観がガラガラと音を立てて崩れていくように感じました。
「医療という名の地獄絵図」に思えてしまったのです。これは本当につらいことでした。
高齢者や障害者は社会的弱者として病院に収容されやすくなっている存在です。
病院は病院で、それを良しとして安易に受け入れてしまってはいないか?
しかも病床を埋めたいがために?
私がこういう疑問を抱くようになったきっかけは、このとき目の当たりにした光景にあります。