病気や妊娠、出産…働けないときに心強い運用収入

一方、FIREする/しないにかかわらず、病気になったり妊娠・出産・子育てでいつものように働けなくなったりしたとき、資産運用からの収入があると、精神的にはだいぶ楽です。なので、あらゆる不測の事態に備えて資産運用からの収入を持っておくことは、万人にとっていいことではないでしょうか。

そして難しいのが、資金面と「やりたいこと」の両立です。ただ嫌だからといって辞めてしまった後になにもやることがないと、アイデンティティーが揺らぎます。かといってヨガインストラクターの方のように、あまりにFIRE前後の収入差が激しくなると、望む生活からは程遠いものになってしまう。どちらも見通しを立てることが大切です。

手に職があって仕事もできる高給取りの彼女たちですが、波風立てず円満退社する方法として、「結婚」という選択肢もFIREと同じくらい、よく出てきます。自分の力で稼いで生きる力のある人も、弱ってくるとパートナーの存在が欲しくなるのかもしれません。

一流企業に就職しても仕事にやりがいを見いだせない

そして私が一番気になっているのは、若く前途有望な彼女たちがそこまでしても仕事から離れたくなっている「理由」です。一生懸命勉強していい大学に入り、一流企業に勤めたりお医者さんになったりした人たちが、働くことそのものにやりがいを見いだせなくなっているのではないでしょうか。

私はファイナンシャルプランナーの仕事を天職だと思っていて、お客さまの相談にのるのも、講演で喋ったりするのもそれぞれ全部、楽しい。なので、多少自由時間が少なくてもそれ自体が悩みになることはあまりなかったのですが、彼女たちは激務なのと同時に、本来やりたかったはずの仕事自体が楽しめなくなっている気がします。もしかしたらそれはエッセンシャルワーカーに言われるような、責任の重さと収入が釣り合っていないからかもしれません。