一方、「結婚という形式にこだわる必要性を感じないから」と答えた人は、女性の41.0%、男性の28.6%だった。しかし、日本で事実婚が増えているわけではない。出生数に占める婚外子の割合は、フランスが60%前後、スウェーデンが55%前後、イギリスが50%前後であるのに対して、日本はわずか2〜3%でしかない。

戦後の高度経済成長期は、子どもが2人か3人いて一家4人、一家5人という世帯が一般的だった。今は貧しくても、将来は必ず暮らし向きがよくなるという希望をもつことができたのだ。現在の若い人たちは「親世代のようにうまくはいかない」と、大半が将来をあきらめているから、結婚に対して積極的になれない。政府が「社会はこれからよくなる」と明るい将来を示さない限り、若い世代が結婚、出産、子育てに向かうはずはない。

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おひとり様が今後も増えつづければ、日本はやがて家族が“消滅”した「ソロ社会」になる。生活様式の変化とともに、求められる製品やサービスは現在とはまるで違うものになる。従来のマーケティングが通用しない市場が拡大していくはずだ。

例えば「ファミリーレストラン」は、ファミリーが少なくなれば需要が減る。定食専門店の「大戸屋ごはん処」などは、すでに壁に向かって1人で食べる席がある。とんこつラーメン「一蘭」が仕切り板のある「味集中カウンター」で特許を取得したように、おひとり様向けのノウハウが、より一層各社で開発されていくだろう。

郊外にある大型店の総合スーパー(GMS)は、4〜5人の家族がクルマで乗りつけ、1週間分の食材をトランクいっぱいに買って帰るというニーズでにぎわっていた。しかし、最近のスーパーやコンビニで目につくのは、惣菜のおひとり様向けレトルトパックだ。肉じゃが、シチュー、ハンバーグと豊富なメニューがあり、温めるだけですぐ食べられる。家族と囲む食卓でも、それぞれ好きな料理が食べられる。

総合スーパーへクルマで買い出しにいかなくても、コンビニを冷蔵庫代わりにして、毎日買いにいけばいいのだ。もっと不精ぶしょうするなら、スマホを使ってウーバーイーツや出前館に宅配してもらうこともできる。

醤油などの調味料も、最近は少量サイズの商品が並び、おひとり様向けの商品開発、サービス開発はすでに始まっている。しかし、本格的なソロ社会を迎える準備ができていない企業は多い。大量生産、大量消費、大量広告の時代に育った人は、発想の転換を迫られているのだ。