米国追従の外交はもはや危険である

岸田文雄首相は、2022年9月27日に開催する安倍晋三元首相の国葬について「弔問ちょうもん外交」を実施理由に挙げた。各国から要人が来日すると見込んで“外交の岸田”をアピールしたいのだろう。23年5月に地元の広島で開催するG7サミットも、アジェンダをすでに出している。岸田首相にとって、外交は“自分のウリ”だと思っているようだ。

安倍晋三元首相の国葬について説明する岸田文雄首相。
安倍晋三元首相の国葬について説明する岸田文雄首相。(AP/アフロ=写真)

しかし私から見ると、現在の日本は“外交の軸”を失っていて、漂流状態だ。軸がない最大の理由は、いまだに米国の目線で世界を見ていることだ。

確かに、戦後から米ソ冷戦の時代は、日本は米国の後ろについていくしかなかったし、当時の米国はいいところがたくさんあった。しかし冷戦が終結したあとは、日本独自の考えで世界の国々と関係を築けたはずだ。外交の軸が必要になっても、相変わらず米国に追従したのだ。しかも「米国はどんな状況か」と冷静に分析してこなかった。

現在のアメリカは、もはや「世界のリーダー」とは言えない状況になっている。共和党支持の“赤い州(Red State)”、民主党支持の“青い州(Blue State)”に分断され、赤い州ではいまもトランプ前大統領の支持者が多い。