買ってもらってからが始まり

Amazonで買い物をすると、その傾向から「あなたのおすすめはこれ」という表示がでますね。また、私が利用しているファッションサイトでは「こんなコーディネートもできます」というお知らせが来ます。今の時代、このような機能的な「フォロー」は積極的に日常の中に入ってきています。

彼は自宅でオンライン購入から配達されたパッケージを受け取った
写真=iStock.com/AsiaVision
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ECショップで買い物をして送られてくるメルマガもたいていの場合は「これもどうですか?」「今、ポイント2倍です」と次の「売り」が目的で、お得な情報と言えば「セール情報」となってしまう。

私は買い物が好きなので、ついつい釣られて買ってしまうこともありますが、毎回「売り、売り、売り」という案内が続くとメールマガジンも開封するのが嫌になってしまいます。

このように「フォロー」と言っても「売りのフォロー」と、「関係構築のフォロー」に分かれてくるのです。もちろんファンづくりに必要なのは後者となります。

私が初めて株を買ったのは20代の時でした。ある証券会社の営業の方を紹介してもらってよくわからないまま言われた商品を素直に購入したんです。

けれど、その株はどんどん下がり、営業の方は1年後にいなくなり、私は誰に相談していいのか、何を聞いたらいいのかもわからなくなりました。だから、私は損をしたままですが、その契約を解約しました。

自分も勉強不足だったことも否めないのですが、もしあの時きちんとフォローがあれば今も口座を持っていたかもしれないし、営業の人から興味が湧くようなアドバイスを受けていたら、もしかしたら今頃、ビルを3棟くらい所有する資産家になっていたかもしれないのです(その逆もありますが……)。

担当してくれる人によって未来がこんなふうに変わるんだと思うと営業選びってとっても重要です。

釣った魚には餌をやらない営業はNG

同じように、今まで多くの営業の人に関わってきましたが会社側から営業の人に「フォローをしろ」という指示はほとんどなく営業が契約を取ってきたら顧客リストに載せて、あとは本社がケア。ケアといってもたまにダイレクトメールを送るぐらいしかしていない。

実際にお客さまと向き合った営業は次の新規獲得を目指さないといけないので、1つひとつの契約なんか覚えていないことがほとんどでした。

でも、お客さま心理から考えていくと、一生懸命説明してくれた営業の人が、契約になった瞬間に消えるのって、寂しいですよね? これぞ「釣った魚には餌をやらない営業」です。渇きますよね、心が。

おそらくあらゆる業界で、関係性の構築のフォローをしていれば未来の売上があったはずだと私は思っています。未来の売上が、フォローをしなかったせいで消滅しているのです。

こんな恐ろしいことが起こっているにもかかわらず、「新規をとれー!」と檄を飛ばしている営業部長がいるとしたら「あなたのせいで大事な未来のお客さまを失っていますよ」と耳元で囁いてあげたいです。

それでも「目先の売上が大事なんだ。お前は何を言ってんだ!」と逆ギレされたら「ごめんなさい、絶滅危惧種に認定しますよ」と言ってあげたい(どうか生き残って欲しいという思いやりを込めて)。

こんな慣習を変えていくためには認識を変える必要があります。