ファンを増やす「3つのステージ」
いきなり「ファンづくり」と言っても今のセールス活動の延長線上で何をしたらいいのか、すぐにピンときてイメージができる人は少ないかもしれません。今までの「セールス活動」はアポイントをとってプレゼンして契約を取るという流れがメインだったから当然です。
そもそも過酷なノルマを抱えた営業にとって購入されたお客さまを丁寧にフォローする時間などなかったと思います。そこで、今までのセールスからどこに比重を置き換えたらいいのかを説明していきますね。
通常、営業活動にはさまざまな流れがあります。
私の営業スタイルは、まず営業の流れを第1ステージ、第2ステージ、第3ステージと分けています。
●第1ステージは『探す』
誰に売るのか? セールスの現場では「ペルソナ」(サービスや商品の典型的なユーザー像)を明確にしてその人の行動パターンや購買動機などを想定したりします。そして広告を出したり個人の方ならSNSで発信したりリストにアプローチをするなどして集客活動をする。
とにかく、お客さまに会うまでのすべての活動がここに入ります。言うまでもなく一番手間がかかるのがこの第1ステージです。
声をかける行動量によって大きく左右される営業などは、このステージで大半の時間を費やします。
●第2ステージは『説明する』
対面の場合はこのステージがプレゼンテーションと契約までの流れとなります。
直接話を聞き、相手に質問をしながら、第1ステージでは「仮」として想定していたペルソナやニーズをより具体的にはっきりとした輪郭にしていきます。そうすることで相手の現状やニーズを把握し、より相手が欲しい未来をプレゼンテーションしていきます。
価格以上に価値があることが伝わったところで、クロージングをして背中を押します。このステージでは契約を取った後に「バトンナップ」という、もう1つのプレゼンテーションをして懸念している不安を取り除きます。
●第3ステージは『フォローする』
ご購入後のアフターフォローで人間関係を構築するのが、この第3ステージです。ご契約後に直接お会いしたり、メールやLINEなどで事務的な会話以外のコミュニケーションをとったり、イベントなどを企画してお客さま同士のコミュニティをつくることなど、ご縁を深めるための「フォロー」をします。
通常は、この第3ステージはまた買ってもらう、あるいは他のお客さまを紹介してもらうことが目的だと考えがちですが、それ以上に、お客さまにもっともっと商品のファンになってもらい幸せな気持ちになってもらうことを優先します。
さて、この3つのステージの中で多くの営業が一番時間を取られるのが第1ステージです。その上「動けば動くほど断られる」ということもあり、メンタルがやられてここで脱落してやめていく人が多くいます。
それなのにこの一番厳しい第1ステージをクリアしないと次のステージには行けませんでした。
自分のためではなく“相手のために”フォローする
もちろん、第1ステージが今後もなくなることはありません。
ただ、多くの営業がこの第1ステージに80%の時間を投下しているのはあまりにも効率が悪いと思いませんか? 逆にほとんど手付かずだった第3ステージにもっと時間をかけてみたらどうなるでしょうか?
もちろん「すぐにここから契約が取れる」という期待はできないかもしれませんが、きちんとフォローして関係性を築いていくことができればお客さまが商品(あるいは営業)の「ファン」になってくださいます。そしてリピート購入が生まれるのです。
それ以上にツイッターなどのSNSで発信してくれたり友だちに紹介してくれたりします。楽しい気持ち、嬉しい気持ちが連鎖していくのです。
つまり、これは新規顧客を追いかける苦しい第1ステージの時間が減っていくことを意味します。この第3ステージは笑顔だらけの楽園ステージなのです。
ただし、注意点があります。企業の利益や自分の営業成績を上げるためだけにこの第3ステージを活用しようと目論むのはダメ。
「え、結局は売上のためにやるのだから当たり前でしょう」と言われそうですが、そういう「思い」は相手に伝わってしまう。決してファンづくりにつながりません。
あなたのためではなく“相手のために”このステージがあるのです。