天台宗の僧侶、髙橋美清さんのところには「思春期の子どもが親と口を利かなくなった。何を考えているか分からない」という相談が持ち込まれることも多い。髙橋さんは「生きとし生けるものはすべて移り変わり、子どもも成長する。小さい時の、何でも話してくれたころの子どもと、今の子どもを比べてはいけない」という――。
天台宗僧侶の髙橋美清さん
撮影=プレジデントオンライン編集部
天台宗僧侶の髙橋美清さん

いつからわからなくなってしまったのか

以前、高校生の息子を持つお母さんから、「息子(仮にAくんとしましょう)が友達とケンカをしてケガをさせてしまった。話しかけても押し黙った状態が何日も続き、何を考えているか分からない」と相談を受けたことがあります。私はこういった場合、子どもから親はどう見えているか、はたまた親は子どもをどう見ているか、必ず両者から話を聞くようにしています。

相手に聞かれては話しにくいこともあるでしょうから、なるべく個別に話を聞くようにも心がけています。そして、「子どもが何を考えているか分からない」という親にはまず、「それはいつからですか?」と聞いています。すると、大抵のお母さんは考え込んでしまい、「小学生のころはいろいろ話してくれたのですが……」で止まってしまう。すぐに答えられる人の方がまれです。