なお、日本では残念ながらあまり注目されていないが、実は「もの」に関してはJIS(日本産業規格)化もされている。国際規格であるISO/IEC Guide 50が「ガイド50」として知られており、子どもを傷害事故から守るための安全指針だ。

国際規格としては改訂第3版が2014年12月に発行され、日本ではこれを翻訳したJIS規格が2016年12月に制定・発行され、JIS Z 8050となった。

「安全側面-規格及びその他の仕様書における子どもの安全の指針」というタイトルで、子どもが関わるかもしれない「もの」の安全規格を作るための指針だ。この指針の核心は「子どもは小さな大人ではない」という記述だ。子どもは単に大人より体が小さいというだけではないという考えだ。

夕暮れ時親の手を握って少女のシルエット
写真=iStock.com/Nadezhda1906
※写真はイメージです

今回の事故はコースの不備が主に指摘されているが、子どもの特性や能力に配慮したカートを用意すべきであったとの指摘もできる。「身長140cm以上」というだけの利用条件で大人用カートを子どもに利用させていたとすれば、この点においても問題がある。

悪影響のあるマーケティングから子どもたちを守るために

消費者教育において「子どもはだれでも明日の消費者」というキャッチフレーズを使うことがある。

子どもに対する消費者教育の重要性を示した言葉だが、これは企業のマーケティング行動にも言える。ファストフード店が子ども向けサービスを充実させるのも、小さいうちに味を覚えさせ、生涯自社食品を食べ続けてもらいたいからだ。

子どもは適切な判断・行動ができないから未成年者としての保護がある。子ども向けマーケティングのあり方に警鐘を鳴らす事故であったように思う。

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