【77兆円の返済法1:収入を増やす(増税/社会保障費値上げ)】

借金返済となればまず考えるべきは収入アップだろう。国の収入アップ、つまり「増税」と「社会保険料の値上げ」である。

▼増税:復興特別所得税に準ずれば「5.1%増×24年間」

2011年の東日本大震災に対する復興支援を目的に、2013年から復興特別所得税が全所得者に義務付けられるようになった。基準所得税額2.1%分を納付する義務があり、これは2037年まで継続の予定である。確定申告書の、「復興特別所得税」欄に相当する(復興特別税には復興特別住民税や復興特別法人税もあるが、計算簡略化のために割愛)。

32兆円の復興予算に対して、復興特別所得税は「2.1%増×24年間」と定められている。ということは、77兆円に対して同じ期間の所得増税で返済するならば単純計算で「5.1%増×24年間」となり、日本の現役世代の労働者は「東日本大震災の借金返済」に加えて5.1%の追加増税を求められることとなる。

1万円札
写真=iStock.com/danielvfung
※写真はイメージです
▼社会保障費をさらに値上げ

選挙のたびに多くの候補者が「消費税減税(あるいは廃止)」を公約に掲げるように、「増税」は不人気政策の筆頭に挙げられる。しかしながら、日本の少子高齢化は改善のめどがつかず、医療介護年金などの社会保障費も増大する一方である。

よって、政治家や官僚は「法律改正が必要で大反対されやすい増税」よりも、「あまり目立たない社会保険料(健康保険、介護保険、厚生年金保険料など)値上げ」によって辻褄を合わせる傾向が強い。「給料明細書の額面は上がってゆくけど、手取りは増えないなぁ」と疑問や不満を抱く現役ビジネスパーソンも多いはずだ。

さらに、社会保障サービスの受益者は高齢者世代が中心であるのに比べ、負担者は現役世代が中心となり、現在の現役世代が老いた時に現在の高齢者同様のサービスが受けられるかどうかははなはだ疑わしい。

2022年ごろからは団塊世代が後期高齢者の仲間入りし、今後、急激な社会保障費の値上げが予想されている。さらに、前述したようなコロナ対策による借金返済分の負担も求めるとなると、おとなしい日本人といえども素直に受け入れてもらえるとは思えない。