「超小型カメラ」の普及で盗撮行為が手軽になってしまった

近年はSNSや動画投稿サイトが広く使われ、選手の画像に卑猥な言葉を付けて投稿したり、選手の写真に体液をかけた画像を掲載したりするダイレクトな被害が深刻化している。新型コロナウイルス禍で「無観客開催」となった大会でLIVE配信したところ、ネットの応援メッセージ欄に特定の選手に対する性的な書き込みが増えた事例もあった。

犯罪被害者の支援などに当たる日本司法支援センター(法テラス)によると、最近の事例で3つの問い合わせケースがあった。

1つは駅のホームでスカートの中を盗撮されたが、加害者が未成年だったため処分できないのは納得できないというもの。2つ目は職場のトイレにカメラを設置され、その後に犯人は店長だったことが判明。慰謝料を請求できないかというケース。3つ目は流行している「マッチングアプリ」で出会った男性に無断で裸の写真を撮られたが、画像がネット上で流出する前に削除してほしいというものだった。

こうした身近な生活空間で盗撮行為が増えている理由に「超小型カメラ」の普及があり、ネットの通販サイトで簡単に「グッズ」が数千円の手軽な価格で買えてしまう実態がある。超小型カメラを検索すると、靴の先に小さな穴を開けて忍ばせるタイプやカバンに入れる典型的なもの、ボールペンに仕込むペン型、置き時計型の隠しカメラ、ボタン型やねじ型、USB型などさまざまなタイプのものが次々と出てくる。

超小型カメラ
写真=iStock.com/ploy
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盗撮グッズや無音アプリなど、手口が巧妙化している

21年2月、順天堂大の医師が逮捕されたケースは路上で女子高校生に背後から近づき、小型カメラを仕込んだ靴をスカート内に向けて盗撮した疑いだった。18年1月、30代の男性が名古屋市内の満員電車内で小型カメラを仕込んだスニーカーを女性の足元に差し入れ、下着などを動画撮影した疑いで逮捕されたケースもあった。

直径数ミリのレンズの黒いカメラを貼り付け、コードでつないだリモコンで録画操作したとみられている。これらの商品は「身近な防犯や会議・商談、ご自宅や職場などでの盗難やいたずらの証拠映像の撮影など様々なシーンで役立つ」との用途説明があるが、盗撮グッズとして使用されているケースも少なくない。

一方、最近では特殊な超小型カメラを買わなくても、スマホ一台で撮影時にシャッター音が出ない「無音アプリ」を盗撮で使用しているケースも多く、手口が巧妙化しているのが実情だ。スポーツの競技会場でも最近取り締まりを強化しているものの、盗撮グッズの性能が高まることで皮肉にも被害のパターンが広がり、いたちごっこが続く現実がある。