盗撮した写真や動画を販売する「盗撮サイト」の被害が深刻化している。共同通信の田村崇仁記者は「人気の盗撮サイトでは1カ月1万円弱で会員登録ができ、さまざまな『盗撮動画』を閲覧できる仕組みになっている。市場規模は数百億円ともいわれており、盗撮手法も巧妙化している」という――。(第3回)

※本稿は、共同通信運動部編『アスリート盗撮』(ちくま新書)の一部を再編集したものです。

DVDショップの店内
写真=iStock.com/BestForLater91
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大型DVDショップで展開されている「盗撮コーナー」

電器店が並ぶ街の東京都内最大級の大型DVDショップ。4階の盗撮コーナーに足を運ぶと、陸上や水泳、体操、新体操、テニス、バドミントン、バレーボール、ビーチバレーなど多種多様なスポーツの競技別に「盗撮シリーズ」が品揃えされている状況に驚かされる。

スポーツを応援する「チアリーダー」を対象にしたものもマニアに人気が高いようで、競技別から全国高校総体や大学の応援団まで細分化されて種類が豊富だ。ブラジルの情熱的な踊りで有名なサンバも対象で「サンバ盗撮」の特設コーナーも存在している。日本では最大級の「浅草サンバカーニバル」が知られ、ダンサーたちは本場ブラジルの露出が多いタイプの衣装を着用してサンバ文化を日本に発信している思いも背景にあるが、地下マーケットの闇は深刻な現実でもある。

今の時代、ネットを検索すれば、アスリートの性的画像や盗撮サイトは大量に情報があふれ、競技別や年代別で動画も販売されている。人気サイトに行くと、1カ月1万円弱で会員登録できる仕組みでさまざまな「盗撮動画」が閲覧可能だ。こうしたビジネスは当然ながら、需要と供給のバランスで成立するものである。

世の中に大量に出回る盗撮サイトは大半が「やらせ」との指摘もある。だが有料盗撮サイトが氾濫するのは「リアルな盗撮もの」があり、ネットビジネスに精通した関係者によると、相場はまちまちとはいえ、画像や動画が数千円から数十万円で個人間の「言い値」により取引されている現実があるからだ。