2023年には「培養フォアグラ」も実現?

次に代替肉のもう一翼、培養肉の開発は、2000年代初頭から一部の研究者の間で進められた。

2013年にはオランダ・マーストリヒト大学のマーク・ポスト教授が世界初の「培養ビーフパティ」を発表し、世界に衝撃が走った。

しかし、当時は細胞培養のための培養液などのコストが非常に高く、ポスト教授のビーフパティの価格は200gで3000万円とも言われた。

このエピソードは世界中で話題になったので、なんとなく覚えている人も多いだろう。

その後、ポスト教授が設立したスタートアップであるモサ・ミートや、ビル・ゲイツなどの著名投資家から出資を得た米国のUPSIDE Foodsをはじめ、世界各地で培養肉の低廉化に向けた研究開発が進められた。

山本謙治『エシカルフード』(角川新書)
山本謙治『エシカルフード』(角川新書)

シンガポールでは米国のイート・ジャストが開発した培養チキンの販売が開始されている。日本では、インテグリカルチャーというベンチャー企業が、細胞を培養するバイオ・リアクターと呼ばれる培養槽を製品化しており、多方面から投資を受けて成長している。

同社の社長である羽生はにゅう雄毅ゆうき氏にはインタビューをしたことがあるが「2023年には培養フォアグラの製品化が実現すると思います」と言っていた。

フォアグラは脂肪の塊なので比較的作りやすいとのことで、たんぱく質が立体的な構造をもつ赤身肉を作る方が難しいそうだ。

ただ、このように世界中で開発競争がなされている状況を見ると、培養肉を我々が手に取る日も、案外近いと考えざるを得ない。

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