「アメリカだけで8000億円市場」代替肉の現状
代替肉と聞いて「うわ、美味しそう」「食べてみたい」と積極的に感じる人はそう多くないだろう。
わたしは率先して食べてみたいと思うが、それは食を巡るビジネスの輪の中にいる人間だからかもしれない。
ただ、代替肉と聞いて眉をひそめる人のなかには、それがどのようなものかをよく知らないで拒否している人も多いのではないだろうか。
だとしたら、基本的な部分だけでも知っておいた方がいいだろう。
代替肉には大きく分けて、2つの分野がある。
1つは大豆などの植物性タンパク質を原材料としたプラントベース(植物性肉)と呼ばれるもの。もう1つが、細胞培養技術によって動物細胞を増殖させて作られるカルチャード・ミート(培養肉)と呼ばれるものだ。
なかでもプラントベースは、米国だけで既に8000億円規模の市場を持つ立派な産業となりつつある。
このプラントベースの市場拡大を牽引してきたのが、2011年にカリフォルニアで誕生した2つのスタートアップ、ビヨンド・ミートとインポッシブル・フーズだ。
ビヨンド・ミートは、エンドウ豆のたんぱく質をベースとしながら、ビーツから絞ったジュースを加えることで、畜肉に比べほぼ遜色ない風味を誇る商品を開発。
米国では、高級スーパー「ホールフーズ」をはじめ、多くのスーパーマーケットの店頭で販売されている。
一方のインポッシブル・フーズは大豆をベースにしているが、肉感を再現するために独自の酵母培養の技術から生まれた「ヘム」と呼ばれる物質を使用する。
同社は、大手バーガーチェーンとのコラボによって全米で「インポッシブル・バーガー」を展開し、一躍その名を知られることとなった。