心臓病最大のリスクは塩分――35歳心臓病患者の食事メニュー

心臓病の代表的知見として、「心筋梗塞、狭心症を招く8つのリスク因子」があります。①高血圧、②高コレステロール血症(高LDL血症)、③高尿酸血症、④糖尿病、⑤肥満、⑥ストレス、⑦タバコ、⑧家族歴(心筋梗塞、狭心症の親族がいる事)の8つです。

このうち高血圧など①~⑤は、食生活で改善することができます。長年、高血圧などが続くと、じわじわと血管が詰まり、ダメージがたまります。疲れ果てた血管が異常収縮し、心房細動や心筋梗塞、狭心症を引き起こすのです。

食生活で控えめにすべきは、圧倒的に「食塩」です。適量をはるかに超えた塩分を長い間摂っている患者さんは結構多く見られます。

当たり前のように食べている日々の食事は塩分過多になりがちです。過剰な塩分が慢性的な高血圧を招き、知らぬ間に心臓に大きな負担を与えています。

心臓病患者さんの塩分摂取は1日6gまで、とても少ない量です。ラーメン1杯で7gですから、6gは患者さんにとっては塩気が物足りなく感じます。多くの人は外食やコンビニ食の「塩分、脂肪分が濃くおいしいもの」に慣れていますから、なおさらです。

ある心房細動の患者さん(発症時35歳、男性、トラック運転手)は、主食はコンビニの菓子パン、外食のラーメン、焼肉でした。

仕事で移動の合間にコンビニで買ってダッシュボードに置き、休憩ごとに食べる。仕事帰りはラーメン店か焼肉店、または家でカップラーメンを食べる……という食生活を続けていました。

ラーメン
写真=iStock.com/enviromantic
※写真はイメージです

「自分は大丈夫」と思っていたようですが、まさに食生活の乱れによる心房細動の発症でした。

仕事でトラックを運転中に動悸どうき、めまい、脱力感、胸の不快感、息苦しさといった症状が出たそうです。「いつ事故を起こすかわからず、怖い」といって受診されました。当院では、身体への負担が少ない手術「カテーテルアブレーション」を行い、症状は治まりました。今では元気に安全運転されています。

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ドッグフードや犬用のおやつを試しに食べてみたことがありますが、ちっとも塩辛くありませんでした。犬に人と同じものを食べさせると、途端に結石ができたり、心臓病になるといいますから、本来、人間は塩辛いものを食べてはいけないのでしょうね。