「営業利益率5%以上」は達成できるか

売上高と営業利益率・セグメント別売上高構成比(2007年度)

売上高と営業利益率・セグメント別売上高構成比(2007年度)

とりわけ、自動車関連事業に強みを持つ三菱にとって、トヨタ自動車でさえ戦後初の営業赤字に転落する自動車産業の壊滅的な状況を前に、自ら手をこまぬいていれば共倒れになりかねない危険性が高まる。そんな予兆をいち早く察知してか、同社は11月に成長戦略の一環として地球温暖化対策事業の拡大を打ち出した。太陽光発電、ヒートポンプ、パワー半導体などを重点的に強化し、15年度に1兆3000億円超の売上高を目指すとともに、これらの事業を通じて510万誦超のCO2を削減しようというものだ。

「自動車市場の激変で大きな影響を受けつつありますが、今のようなときにこそ、これまでやってきた事業構造改革の努力を生かせなければ本当に情けない。環境事業は景気とは別次元の話だから力を入れるのは当然ですし、この分野への開発投資や設備投資は決して緩めずにやっていくつもりです」

「100年に一度」ともいわれる金融・経済危機の渦中にあって、環境事業のみならず、あらゆる経営面での体質強化が避けられない現状にあるのはいうまでもない。さらなる体質強化に向けてどのような対策が打ち出せるのか、下村の手腕が問われるところだが、総合電機3社の中でも三菱電機の看板である「営業利益率5%以上」の目標をどう考えているか、改めて質してみた。

「守りたいという気持ちは変わりません。相当困難なことをやらなければいけないと思いますが、景気の谷がきたので利益率が落ちますなんて野暮なことはいわんようにしたい。永続的にずっと掲げている目標は下ろさず、全社を挙げてあらゆる努力をしましょうというのが、社内外に対するメッセージです」

今が金融・経済危機にとどまらず、100年に一度の大変革期に突入しているとすれば、5%以上の目標を達成できるかが、三菱電機の構造改革に裏打ちされた底力が試される一つのメルクマールになるかもしれない。 (文中敬称略)

(川本聖哉=撮影)