マンション火災で母子が死亡、父は重体に

ニューヨーク・タイムズ紙デロイト社による推定値をもとに、2020年に全米で50万台のeバイクが販売されたと報じている。

これは同期間に全米で売れたEVの2倍以上に相当するという。なお、ここでいうeバイクは電動アシスト自転車に加え、日本では公道を走行できない自走するタイプの製品が含まれている。

販売数の増加に伴い、悲劇的な火災の発生も増えるようになった。同紙は8月3日、マンハッタン北部のハーレム地区のマンションで火災が発生し、2人が死亡したと報じている。10階建てマンションの5階から出火し、この火災で母と幼い娘が死亡し、父親も重体となったという。

CBSニューヨークは、共用階段に保管してあったeバイクが火元だと報じた。現場には、焼け焦げてほぼフレームだけとなったeバイクが残されていたという。

集合住宅の火災
写真=iStock.com/Vladimir18
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原因は夜間に充電中のバッテリー

昨年12月には、ショッキングな避難の様子が報じられた。窓から激しく炎が噴き出すなか、外壁を伝い命からがら地上へ逃げた少年・少女の姿がカメラに収められている。

CBSニューヨークが報じた動画では、4階の複数の窓から炎と黒煙が上がる様子を確認できる。13歳少年と18歳少女が煙の充満する室内から逃れるべく、壊れかけた窓枠に両手だけでぶら下がり、続いて移った建物外壁の配管を伝い地上へと降りた。火災の原因は、夜間に充電中だったeバイク自転車のバッテリーだったという。

二人は姉弟であり、その父親の恋人である40代女性が火災により命を落としている。NY市消防局長は記者会見の場で、「これらのバッテリーは損傷したり過充電したりすると水素を放出し、猛烈に爆発します」と述べ、注意喚起した。

米自動車ニュースサイトの「ジャロプニク」によると、火元となった部屋では姉弟の父親が9個のeバイク用リチウムイオン電池を夜間に充電しており、これが未明になって火を噴いた模様だ。アパートからは黒焦げになった7台のeバイクが発見された。この父親はeバイクの修理業を営んでいたという。

NYで止まらない「悪夢」

悲惨な事故は後を絶たない。NY市消防局は今年4月、eバイクのバッテリー由来の事故が24時間で4件発生したと発表した。CBSニューヨークはこのうち、ブルックリンで住宅が激しく燃え、隣家にも延焼した事故を動画で報じている。夜間にもかかわらず周囲は日中のように明るくなり、近隣住民は「悪夢だ」と語った。