バッテリーが発火、爆発…電動自転車の知られざる危険性

電動アシスト自転車が人気だ。エコで健康的な特性に加え、パンデミック以降は混雑した電車を回避できる交通手段としても注目されている。

電動自転車に乗る女性
写真=iStock.com/Greice Baltieri
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しかし、思わぬ事故が起きている。普及が進むニューヨークでは24時間で4台が火を吹く日もあり、CBSニューヨークは火災件数も今年8月の時点ですでに昨年のほぼ倍を記録したと報じている。

もちろん、一概に電動自転車が悪というわけではない。日本でも都市部ではシェアサイクルが普及し、平野部の密集地では数ブロックも歩けば次の貸し出しステーションが見つかるほどに広がっている。国土交通省はシェアサイクルを公共交通網を補完する存在と位置づけ、観光振興や地域生活への貢献の観点から普及・促進に力を入れている。

借り手にとっても、手軽にレンタルできるシステムはありがたい。スマホのアプリで予約し、30分ごとに百円少々などの料金で利用可能だ。レンタカーとは違い、追加料金なしで別のステーションへも返却できるため、荷物の増えた帰り道だけレンタルするなど柔軟な活用ができる。

自分専用のアシスト車を購入したいと考える人も多いようだ。経済産業省の生産動態統計調査によると、2020年には市場規模が600億円を超え、2007年の6倍以上にまで拡大した。自転車全体の販売数が下降するなか、eバイクなど高価格帯の好調な売れ行きが販売単価を同期間に7割ほど押上げ、全体の市場規模を拡大している。

便利な電動アシスト自転車だが、その危険性は意外に周知されていない。自転車にはリチウムイオン電池が搭載されており、充電時を中心に発火や爆発の危険がある。ニューヨーク・タイムズ紙は、ニューヨークではバッテリーが原因となったマンション火災が続発しており、犠牲者を生んでいると報じている。