日銀は異次元金融緩和を見直さざるを得ない
それにもかかわらず、ECBはインフレ退治のために金融を引き締め、供給力に見合うまで需要を抑えざるを得ない。FRBやECBが金融緩和に転じるにはかなりの時間が必要だ。目先、世界経済の後退懸念が上昇する一方で、短期を中心に金利は上昇するだろう。国際通貨基金(IMF)に支援を申請する低所得国は増えるだろう。
やや長めの目線で考えると、いずれ世界の景気は徐々に回復し、需要は上向くだろう。需要の回復は物価上昇を支える。賃金の上昇期待などを背景に、価格転嫁を急ぐ企業も増える。そうした展開が現実のものとなれば、再度、米欧の中銀はインフレ退治のために金融政策を引き締めなければならない。それによって金利上昇が鮮明となる展開が予想される。
その状況下でわが国の金融政策が緩和的に運営されている場合、円安が進み輸入物価は上昇するだろう。今後、円安が経済にマイナスの影響を与える部分は増えると考えられる。その軽減のために、徐々に日本銀行は異次元金融緩和の正常化を目指すだろう。