発表時間を“ぴたり”と守る幹部自衛官の卵たち

理工系になると学科の数も多く、卒業研究のテーマはバラエティに富んでいる。ただ、数式や化学方程式ばかりが並んでいるものも多く、文系の私にはちんぷんかんぷんなのだが、学校長が聞いているかどうか皆が横目でチラチラ私の反応を見ているので、一応わかったようなふりをしなければならない。

発表は一人あたり議論を入れて15分程度であり、一流の学者でもそんなにコンパクトに発表するのは難しそうだ。中身の出来具合にはバラつきがあるが、皆が時間をぴたりと守るのはさすがに幹部自衛官の卵だ。

一般の大学であれば、学年ごとや卒業にあたって履修単位が規定に満たなければ、留年するか、2年連続留年の場合は退学になったりもする。防大にも当然のことながら同様の規定がある。2年留年すると、退校処分となる。

1コマでもサボれば懲戒処分が待っている

また、防大には履修単位上の留年に加えて、日常的な服務状況に問題がある際に行われる「服務留年」というのがある。これは防大が将来幹部自衛官になるための人格形成を重視しているからで、学生生活のなかで、繰り返し服務において厳しい懲戒処分を受けた場合などには留年する規定がある。

この点についてはより科学的な根拠が必要であるとの認識にもとづき、日常的に指導している多くの指導官が、普段から学生一人一人の日常活動をありとあらゆる角度から把握し、評価するシステムを作成している。指導官の「指導記録」も大隊指導官が定期的にチェックして、記入漏れなどがないか調べているようだ。もちろんこれは学生のプライバシーに関わる部分であり、私ですらほとんど見たことはない。

防大の懲戒処分は厳しい。勝手に1コマでも授業をさぼるようなことをすれば、懲戒処分が待っている。授業を休むには必ず「欠課届」を提出し、承認されなければならない。

防大の懲戒処分には、厳しい順に退校、停学、戒告、訓戒、注意とあるが、どの量定が下るかはケースバイケースである。戒告や訓戒を繰り返すと、より厳しい処罰が待っている。暴力行為、窃盗、詐欺行為、性犯罪などにはもちろん重い処罰が下されるが、無断外出(脱柵)、誹謗ひぼう中傷、小突き、罵声、ハラスメント等々、細かいところまで前例を蓄積させる形で規定が定められている。