人生を変えた「星のカービィ」

『星のカービィ ディスカバリー』も、娘が一人でやっていて、見もしませんでした。だけど2人プレイができるらしいし、6500円もしたのでせっかくだからと、5歳の息子が先に寝てしまった日、小5の娘と一緒にやってみたのです。

私はずっとテレビゲームに劣等感がありました。マリオはきのこを食べて大きくなっても次の瞬間には小さくなってるし、すぐ死ぬし、シューティングは1秒くらいで何が起きたのか分からないまま爆発、村人に話を聞きながら旅する系も「この中でコインをためて睡眠をとって体力を回復して何になるっていうんだろう」と虚無を感じてイヤになっちゃう。ゲームで盛り上がっている人たちの楽しさを自分は知ることはないんだろうな、そう思って生きてきました。

でも、Switchの赤色のコントローラーを握って、カービィを動かした瞬間、その劣等感と虚無が一気にはじけて消滅したのです。本当に、むっちゃくちゃ、ビックリしました。

私みたいな人でも、ものすごく簡単に操作できるように作ってありました。コントローラーが、私の指の微妙な動きまですべてを画面に反映してくれるんです。カービィが思いのままに動く。あまりにも自分の感覚と直結しすぎていて、おれがあいつ(カービィ)であいつ(カービィ)がおれで⁈ 状態なんです。そしてカービィ(私)がめちゃくちゃ強いんです。

そういえば昔、ゲーム会社の人が「得意な人だけではなく、ゲームに苦手意識がある人も楽しめるゲームを作る」という話をしていたのをテレビで見たことがありました。

たしかに、ゲームが苦手な人も、やりながらその場で操作が習得できるように、手取り足取りの仕掛けが組み込まれている。昔の『スーパーマリオブラザーズ』の操作の難しさ、クリボーの厳しさ、ボタン(高橋名人が連射してた部分)の言うこと聞かなさ、上手い人だけがどんどん進めて自分だけ永久に1面から出られない無情さがない作り。すげえ。

スーパーマリオのトラウマ

小学生の時、誰かの家でみんなが集まって『スーパーマリオブラザーズ』を順番でやっているところに参加したことがありました。私がやっていたら、男子たちがうしろから「なにやってんだよ、ヘタクソーーーッ!!!」って叫んできてめちゃくちゃ怖かった。その恐怖とリンクして、マリオが死ぬ時のビックリした顔で手足バーンて広げて落ちていく姿もトラウマでした。

でも今思えば難しすぎだから! スーパーマリオ! カービィは次はここを押せ、ってボタンの指示出るから。なんも考えなくていいし技術もちょっとでいいから!

それにカービィは死んじゃうシーンも、目を閉じて寝てるだけみたいな感じでカワイくて恐怖が少ないのもありがたいです。敵たちもめっちゃくちゃカワイイ。

そしてカービィで何よりも驚いたのは、背景の美しさとカメラアングルです。