そりゃ夢中になるよ…

もうたぶん、ここまで書いててゲームやる人にとっては当たり前の話が続いてるんだろうなって思うんですけど、書かせてください、本当に感動なんです。

架空の世界が丁寧に描かれていて、どのステージも細部まで見たくなる。海に差す日光や、濡れたアスファルト、あふれて吹き上がる水道など、水の表現が実写ともアニメとも絵画とも違う見たことのない美しさ。

それに、カービィの移動に合わせて、映画みたいにぐるぐるカットが変わるんです~~っ‼ すごいの~~‼ カーブした階段登る時は、ぐーーーっとドローンで回ってるみたいに、カメラがカービィを追うんです。トンネルをくぐるとラスボスがいるって時は、カービィの背中のすぐ後ろから撮って、カービィの背中(まんまる)越しに現れたりして、ものすごい臨場感なんです。

CMで『ファイナルファンタジー』の画面とか見たことはあるけど、自分が操作してその世界に突入して感じるのではぜんぜん違う。

みんなこんなのをやってたのか……。世界もそりゃ夢中になるよね。

カービィの世界では、カービィ(主役)とワドルディ(協力者)という関係を子どもと交互に交代して体験
イラスト=田房永子

親と子の立場が変わる楽しさ

娘は先にプレイしていたので、私にカービィの操作を譲ってくれました。娘はワドルディ(カービィの相棒)を操作し、いろいろ教えてくれたり案内してくれました。

画面の中で、カービィとワドルディとして「あっちに行ってみよう」とか「ここ、絶対なんかあるよ、取って」とか「叩いてみたらいいんじゃない?」とか相談しあったり、協力してミッションを達成していくのがオモシロすぎでした。

娘と私がポヨンポヨンの生き物になって、太陽に照らされた海の反射が美しい景色の中を走り回って遊んでるみたいな感覚になるんです。本当に異国で旅をしているみたいな没入感。

攻撃の時のスペシャルな動きや、シュルルルッとか剣を振り回す音も、人間の心地よい感覚にぜんぶ合わせてあって、やればやるほど気持ちがいい。そして南国やら砂漠やら、次から次へといろんな舞台が出てくるんです。

それと、これはのちに思ったことですが、カービィ(主役)とワドルディ(協力者)という関係を子どもと交互に交代して擬似体験できるって、すごく心が安らぐ感じがします。普段は基本的に親の私が管理・監視する側で、子どもは管理される側。だけどこの世界の中だけは、普段の「保護者」としての緊張をゆるめて子どもと同じ感覚で楽しめる。それがすごく、私にとっては癒やしになっていると思いました。