体重が1.5%以上減っていたら「脱水リスク高」
起床時の体重チェックは一般の人の熱中症の発症リスク軽減にも役立ちます。
50g精度の体重計を用いて排尿後に極力軽装で体重の測定を行うことで、前日との比較や基準値との比較を行うことができます。
基準値を求める場合は、前日の夜までに2~3l程度の水を飲み、翌朝の排尿後体重を測定し、その値を利用します。エネルギー摂取量や水分摂取量が、その日の不足分を過不足なく補えていれば、体重の変動はプラスマイナス1%以内でおおよそ安定します(※2)。
従って、個人差を考慮し、まずは1.5%以上を脱水と決め、判断基準以上の脱水であれば起床時からの水分補給を積極的に行うことから始めてはいかがでしょう。単純に、体重60kgの人で1.5%の体重減少であれば、900mlの水分が前日と比較して足りないということを意味します。
一方、起床時の脱水率が問題ない場合は、まず、体重の1~1.5%に当たる量を計算し、その量を計画的に摂取することで、大幅な脱水に陥るリスクに備えることができます。
運動を行って汗をかくような場合はこの限りではありません。
※1 長谷川博・中村大輔『スポーツ現場における暑さ対策 スポーツの安全とパフォーマンス向上のために』(ナップ)pp. 211ー221
※2 Cheuvront SN, Carter R, Montain SJ, et al.: Daily body mass variability and stability in active men undergoing exercise-heat stress. Int J Sport Nutr Exerc Metab, 14: 532-540, 2004