リーダーはメンバーとの「意識合わせ」をやるべき

ここでいうチームメンバーとは、町内会とか業界団体とかサークルとか、仕事ではない集まりのこと。仕事ではないので、金銭的なインセンティブがあるわけではありませんし、明確な目標も納期も持たない集まりです。

オフィスなら、上司と部下という約束ごとの関係があって、上司が部下に「面談をする」と言えば、部下はそれを受けざるを得ません。面談が、路線から大きく外れることもないとお伝えしましたよね。

それに対してこちらは、肩書による権威づけが使えないし、言ってしまえばなんの約束ごともない関係なのです。

もし、その集まりでリーダー役に任命され、運営を任されたとしたら、どうでしょう。

あなたが、いくら旗を振っても、皆、それを冷ややかに見ているだけという状況もあり得ます。そんな場合は、個々のメンバーとの対話の中で、各人の思いや願いを聞いて、意識合わせをしていかなければなりません。

私は国際コーチ連盟(当時)の代表理事として活動していた時期がありますが、これだって、メンバー全員が「コーチングを普及させていく」という認識を同じ方向性とモチベーションで持っていると思うと大間違い。

話を聞いてみて、初めて「えっ? 違うの?」と驚く経験をしたことがあります。

だとすると、「そもそも、なんで参加しているの?」というところから聞いて、「ここで何をしたいのか?」「願いはどんなことか?」という意識合わせが必要なのです。

PTAの集まりで、共通認識として掲げられている言葉が、「学校をよくしたい」だとしても、偏差値を高くしたいのか、文武両道の子どもを育てたいのか、登校拒否の生徒をゼロにしたいのか、「よい学校」の概念は、各自で違うはず。

チームメンバーへの傾聴は、そんな共通認識をすり合わせるものだと考えてもよいと思います。

仕事のデキるオペレーターは「お客様の声」を聞く

かつての営業は、「お客様、耳よりの情報がございます」という提案型でモノが売れました。

商品やサービスの特長を前面に出せば、それなりに売れた時代がありました。

しかし、現代は、「お客様の話を聞いて、何を求めているのかといった情報をゲット」して、その目的に適うモノやサービスを提案しなければ売れない時代。

お客様のニーズが出発点で、逆引きで営業が展開されていくのがトレンドです。

表現は適切ではないかもしれませんが、昔の「御用聞き」のような、痒い所に手が届く営業が望まれるようになっているのかもしれません。

しかしながら、お客様の話を聞かない営業担当者がいまだ多いのが現状です。

例えばアパレルショップでも、「これ、今年の流行で、私も1着持っています」とグイグイくる店員さんに出会うたび、「いや、それを言うなら、こっちが『今年の流行はなんですか?』って質問してからでしょ」などと思ってしまいます。

お客様との会話というと、ついセールストークを思い浮かべがちです。しかし、相手がお客様であっても、基本は一緒。話を聞くことが前提なのです。

私は、車は大好きなのですが、車の修理や点検に行くのが嫌いです。

なぜなら、先方が私にしゃべらせてくれないから。

ランプに不具合が出て、修理にいったときも、ランプを見るや否や、「あー、交換ですね、見積り出します。今日、車は置いていかれますか?」と……。

私としては、「このランプが壊れたときの波乱万丈な物語を話させてくれよ」って思ってしまうのです。

でも店員さんは、こっちが話す気満々なことにまったく気がつかず、紋切型で「交換代は○円です。○日かかります。お支払いはカードですか? 現金ですか?」と言ってくるのみ。

そんな現場が多くある中、お客様相談センターのデキるオペレーターの場合は少し異なり、「お客様の声は財産」ということがわかっていて、お客が満足するまで話をさせてくれます。

ヘッドセットを着けて応対する女性
写真=iStock.com/kazuma seki
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話すことによって、お客様の主体性も上がります。

話すことで、自分の内面にあるニーズを確認できて、「営業に買わされた」のではなくて、「自分でよいものを選んで買った」と思っていただける。

「聞くこと」によって、そんな効果も創出することができるのです。