「同僚」と雑談ではなく話ができているか
実は、日々のオフィスワークの中で、ものすごく近い存在でありながら、もっとも話を聞けていないのは、この「同僚」かもしれません。
「いやいや、しょっちゅう話しているよ」と、そんな声が聞こえてきそうです。
でも、その話って、ただの雑談ではありませんか?
あるいは、お互いに、「話を聞き合う」のではなく、「話を伝え合う」だけになっていませんか?
以前私が、中華料理屋さんでランチをしていたときに、たまたま目撃した、同僚らしきサラリーマン2人の会話です。
「あいつ、ヤバいよな」
「だよな」
「よくあれで仕事ができてるよな」
「でもさ、あいつ、係長のお気に入りらしいぜ」
「えっ、マジで?」
「信じられないよな」
そんな感じで、ずっと、そこにいない第三者の話を続けていました。
いったい、そんなことを「伝え合って」なんの得があるのだろうって私には思えます。
どうせなら、目の前にいる相手のことを聞いて、関係性を深めればいいのに……。
同僚だと、似たような環境で働いていて、仕事や上司が一緒だったりして、何も聞かなくても相手の状況がある程度わかります。
しかし、相手の仕事がよくわかる分、話をすると、つい、アドバイスをしたくなってしまいがち。
それって本当に必要でしょうか?
ただの“同僚”から“友達”になるための会話のあり方
コーチングの世界ではよく、「相手は1人の成熟した大人の人間である」ということを言います。相手には相手の考えがあるのですから、相手から求めてこない限り、ヘタにアドバイスをするのは余計なお世話なのかもしれません。
では、どんな会話をするのがよいのか?
基本はやはり、「ちょっと教えて」という「聞く姿勢」を見せることです。
普段の雑談の中で例えば、「○○さんは、5年後にはこうなっていたいとかいうビジョンはあるの?」などと聞いてみると、会話の内容自体も変化するし、一気に距離が縮まって人間関係が変わるかもしれません。
お互いにプライベートなことを知ると、共通の興味や趣味がわかって、「ただの同僚」から「信頼できる友だち」になれるかもしれません。
そこまでいかなくても、話を聞くことで、同僚の性格や、強み弱み、得意なこと不得意なことなどがわかって、その後の仕事がやりやすくなるでしょう。
「○○について詳しいのは○○さんだから聞いてみよう」などと、困ったときに頼れるようになるかもしれません。
こういう話をすると、「会社の人とは友だちになりたくない」という方がいます。
そういう方には、こうお伝えしたい。
「その判断、早くありませんか?」
なぜって、多くの人は、会社で見せる顔とプライベートの顔は別人です。
例えば自分が嫌いなタレントの顔を思い浮かべてみてください。あなたが嫌いなそのタレントは、プライベートでは周りの人たちから好かれる好人物かもしれない。
そんなことを考えれば、「その人と友だちになるかどうかの判断は、その人のことを知ってからでも遅くない」と思いませんか?
もしかしたら、会社で友だちになった相手が退職し、フリーランスとして成功。今の会社に嫌気がさしていたあなたに、「一緒に事業を興さない?」なんて声がかかる……と、そんな未来が待っているかもしれないのです。
会社の同僚とは友だちになりたくないと言っていたら、そんな未来を逃がしてしまうかもしれません。