「わざと道に迷う」気分が落ち込んだ時の対処法

私自身は、どちらかというと、嫌なことがあっても1日経つとケロッとしているタイプの人間ですが、それでも気分が落ち込んでどうしようもない時は、近所の知らない街をひたすら歩き回って、わざと道に迷う時間をとります。

アスファルト上の矢印
写真=iStock.com/Zbynek Pospisil
※写真はイメージです

家にたどり着いた時にはヘトヘトになりますが、知っている道に出た時の安堵感や達成感で、満たされた気持ちになります。

先の例でいうと、あえて別のストレスを与えることで、脳を活性化するということなのかもしれません。

それでもどうしようもない時は、過去に成功体験を共にした仲間と連絡を取り合って、実現可能性などはいったん置いておいて、突拍子もない将来の夢の話に花を咲かせます。

以上が私のストレス解消法ですが、これは脳科学的にみて理にかなっているのでしょうか。検証してみましょう。

脳内物質の放出を高める4つの行動

脳内物質の観点からいうと、歩く・走る・咀嚼するなどのリズミカルな運動は、セロトニンの分泌を促すといわれています。

また、動物実験からは、迷路などの探索行動やエサを探す捕食行動をする時にアセチルコリンの放出が高まったり、シータ波が上昇したりするといわれています。

また、旅行のような新奇体験では、ノルアドレナリンが分泌されて、ストレス応答によって、記憶や学習能力を高める効果があると考えられます。

さらに、現実から離れて、夢や将来の計画を立てている時は、期待に胸が膨らんでいる状態、つまりドーパミンの放出が高まり、やる気が高まっている状態といえるでしょう。

【図表1】脳科学的にみたストレス解消に役立つ4つの行動
筆者作成

そう考えると、私は、知らず知らずのうちに、これらの脳内物質の放出を高めるような行動をとっていたということになります。納得です。

そういえば、チンパンジーの研究でとても興味深いものを目にしました。ある難しい課題をチンパンジーに与えると、そのチンパンジーは、過去に協力的だった仲間を選んで、また一緒にその課題に取り組もうとする傾向にあるのだそうです。

なんと、私もチンパンジーも考えることは一緒なのですね。

【関連記事】
頭蓋骨マサージで脳脊髄液を流して若返り…"トンデモ美容"が後を絶たない理由
老化を招く「テストステロンの減少」を食い止められる…いつも明るく元気な人が摂取している"ある食材"
なぜ自宅にいるのに「家に帰る」と言い出すのか…認知症の夫に困り果てた妻に脳科学者はどう答えたか
62歳にはまったく見えない…順天堂大・小林教授が毎朝必ずやっている「4つの腸活習慣」
メンタル不調のときにまず食べるべき最強で手軽な「うつぬけ食材」