②炭水化物の無限サイクルに陥る

朝のパンを控えたほうがいいのは、朝食だけの問題ではなく、それ以降の食事にも影響を与えてしまうという理由もあります。

血糖値が上がったあとは、インスリンが分泌され血糖値が下がるのですが、血糖値スパイクのあとは必要以上に血糖値が下がる場合が多く、これを「機能性低血糖症」と呼びます。

低血糖気味になると、「血糖値が下がった」という情報が脳に伝達され、自然と糖質を含む食べ物が欲しくなります。そのため朝食がパンの場合、昼はうどん、夜はパスタなど炭水化物の連鎖になってしまう可能性が高いのです。

事実、私自身もそうでした。この機能性低血糖症を起こすと朝食を食べたにも関わらず2時間後に空腹を感じてしまい、朝食が十分に消化されていない状況で次の食事を摂ることになり、消化管に大きな負担をかけます。

近年は、朝の低糖質、高脂肪食が適切な満腹感につながり、1日を通じて血糖値のコントロールに役立つという研究結果も報告されています。

つまり、朝は食べない、もしくは炭水化物以外の食事、たとえば卵料理など血糖値スパイクを起こさない食事を摂ると、その後も必然的に血糖値を上げにくいメニューを選ぶようになるわけです。

「糖質が糖質を呼ぶ」という“糖質過多”のサイクルは、糖代謝を理解すれば当たり前なのですが、当の本人は糖質を食べさせられているという認識がないため、気づくのが難しいのかもしれません。

③自律神経のバランスが乱れる

私たちの体の内臓や血液の流れは、自律神経というまっしょう神経でコントロールされています。

この自律神経には、交感神経と副交感神経の二つがあります。交感神経は体が活動的になったときに優位になり、休息時には副交感神経が優位になります。

日中起きているときには交感神経が優位になり、循環血液量も上がり、消化管の働きは抑制されます。夜間は副交感神経が優位になり心拍数も少なくなり、逆に消化管の動きは活発になります。

朝は、副交感神経から交感神経に移行する重要な時間帯です。この時間帯の体調を制することが、1日の体や脳の活動の質を上げるためにも重要なので、自律神経を乱すような行為は控えるべきだと考えます。

自律神経の研究でも、糖が口腔内に到達すると膵臓を支配する交感神経が抑制され、副交感神経が促進されることが指摘されています。

朝の時間帯に水やお茶、コーヒーを摂ったり、軽い運動をすることはおすすめしますが、パンのように胃の中で膨張し滞留時間が長く、しかも血糖値を急上昇させる食べ物を摂ることは、体のバランスを乱す行為にしかなりません。

胃の中で膨張して滞留時間が長い食べ物を朝に摂ると、副交感神経が優位になってしまうため、せっかく朝起きて交感神経に移行したのに、また副交感神経が優位になってしまいます。再び副交感神経が優位になると、仕事でもベストなパフォーマンスを発揮することは難しくなります。

原始時代は日がのぼって明るくなったら起きて、お腹がすいたら狩りに出かけ、夜になったら寝るというシンプルな生活だったため、交感神経と副交感神経の移行もスムーズだったと思います。

しかし、1日8時間働いて、1日3回食事を摂り、日が暮れても電気で明るくして活動を続け、ストレスフルな日々を過ごしている現代では、交感神経と副交感神経の移行はスムーズには行なわれにくいのです。

これを意識して、せめて朝の時間帯ぐらいは、体のバランスを大きく変化させるパンなどの食べ物は口にせず、自律神経を乱さないようにすべきです。