※本稿は、福島正嗣『朝食にパンを食べるな』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。
「和食=ヘルシー」という思い込み
胃腸科外来の患者さんの多くは、「胃もたれ」「胃液が上がってくる」「胸や喉が詰まる」という症状で来院されます。
私は胃腸専門医として、これまでに胃の内視鏡検査を6万件、大腸の内視鏡検査を3万件以上してきました。延べ10万人の胃腸を診てきた私のこれまでの臨床経験では、これらの症状の多くは、食習慣が原因だと考えています。
そして、その主犯は炭水化物だという結論にたどり着きました。
以来、私のクリニックでは、胃腸の不調を訴える患者さんに、「朝のパンを、やめてみませんか?」と提案しています。
パンをはじめとする炭水化物がいかに胃腸に負担をかけているかを説明すると、患者さんから「やっぱり和食が最高なんですね!」と返ってくることがあります。
どうも「和食=ヘルシー」または「和食=消化がいい」と思い込んでいる人が多いようです。
たしかに和食は、2013年にはユネスコ(国際連合教育科学文化機関)の無形文化遺産に登録されて、世界的に見てもヘルシーというイメージが確立されています。私も日本人なので和食が健康にとって最高な食事であることを望みますが、生理学や食の科学から見ると、じつは必ずしもヘルシーな食事とはいいがたい面もあります。
一汁三菜は本当に栄養バランスがいいのか
農林水産省の資料を見ると、和食は一汁三菜を基本とした栄養バランスに優れた食事という部分が強調されていますが、私はこの点が非常に気になります。
和食の基本とされる「一汁三菜」というのは、
・主食…脳の働きに欠かせない炭水化物の摂取
・汁物…食べ物を飲み込みやすくする。体を温かくする
・主菜…魚や肉を使って、タンパク源を摂取する
・副菜…煮物や和え物など野菜を中心としたもので、ビタミンやミネラルを補う
・副々菜…香の物。足りない栄養素を補う
で構成された献立です。
定食などはこの考え方で構成されており、一般的にバランスがいい食事といわれています。
厚生労働省が発表している日本人の食事摂取基準では、タンパク質が13~20%、脂質が20~30%、炭水化物(糖質)50~65%となっており、このバランスを推奨しています。
日本が世界に誇る一汁三菜ですが、はたして本当にバランスがいいのでしょうか?