ビジネスメールの中でも頭を悩ませることの多い「おわびメール」。国語辞典編纂者の飯間浩明さんは「コツをつかめば、既に知っている語彙を使って、情報や気持ちを正しく伝えることができる。おわびの場合は、謝りたい気持ちの強さ(「謝り度」として0~4段階で表現)に応じて表現するといい」という――。(第1回/全3回)
※本稿は、飯間浩明執筆・監修、古賀及子執筆『語彙力がなくても「伝わる」ビジネスメール術』(朝日新聞出版)の一部を再編集したものです。
コミュニケーションを円滑にするおわび
過去のことについて、お礼とともにおわびの気持ちを示す文例です。「謝り度」は1。ここでもまだ、感謝のほうが強く前面に出ている状況です。
件名:データ 確かに受け取りました
いつもお世話になっております。○○社の○○です。
昨日のミーティングでは失礼いたしました。
お忙しいなか、早速お約束のデータをご手配いただき、まことにありがとうございます。
それでは、こちらを基に作業を進めてまいります。
いつもお世話になっております。○○社の○○です。
昨日のミーティングでは失礼いたしました。
お忙しいなか、早速お約束のデータをご手配いただき、まことにありがとうございます。
それでは、こちらを基に作業を進めてまいります。
意外に使える「失礼いたしました」
●昨日のミーティングでは失礼いたしました
会話ではよく使う「失礼いたしました」ですが、実はメール文でもきわめて有効です。
特に、文例のように直近のコミュニケーションについて軽く言及する際など書き添えておくと、関係を築く上で感じがよくなります。
誰しも、どれだけ気をつけていても、避けようもなく失礼をしてしまうものです。迷惑をかけあって、許しあって生きているのが人間です。ここでは、自分が気づいていないかもしれない失礼をわびているのです。
こんな表現も
●ご心配をおかけしました
●お騒がせいたしました
より具体的なおわびの文言です。「失礼いたしました」はさしたる失礼がなくても使いますが、上記の2つは実際のできごとに言及する場合に使います。
●恐縮いたします(恐れ入ります)
「失礼いたしました」は、相手と何か接触があったあとでそれをフォローする、つまり過去についてのおわびとして使います。
一方、「恐縮いたします」「恐れ入ります」は未来のできごとについてのおわびにも使えます。
たとえば次のような使い方です。
「明日はミーティングのお時間をいただき、まことに恐縮いたします。予定どおり11時に貴社へお伺いいたします」
お互い仕事ですから、ミーティングに時間をもらえるのは普通のことです。でも、「してもらって当たり前」という態度では、コミュニケーションはうまくいきません。そこで活躍するのが「恐縮」というわけです。