スーツ姿の3人は「やべーよ、まじで!」と大騒ぎ

昼休憩中、私がトラックの荷台に腰かけながら弁当を食べていると、スーツ姿の男性が3人、そばにやってきた。

「このアパートを管理している不動産会社ですが」

片付けを進めることで通れるようになった
片付けを進めることで通れるようになった(撮影=笹井恵里子)

と、名刺を差し出す。チーフの溝上さんが彼らの前に立ち、挨拶をする。不動産会社の男性は、トラックに積まれた物の山と、溝上さんの顔を見比べながら「あの2階の奥の部屋ですよね? もう終わりました?」と尋ねる。溝上さんが黙って首を横に振り、「まだかなりの量が残っています」と応える。

すると男性たちは「えっ、これだけ運び出して、まだ終わらないんですか?」「どんだけ物があるんだよ」「ちょっと中見ていいですか?」と口々に言う。そして最後に「っていうか、あの人(居住者)、死んだ?」と聞く。溝上さんが「いえ、入院中です」と応えると、残念そうに肩を落とす。

不動産会社の男性たちが階段を上るのに続いて、私もこっそり後をつけた。

男性たちは部屋の中に足を踏み入れると、全員が絶句した。しばらくして、

「ウワッ、やべーよ、まじで!」
「キッチン、総入れ替えだろ」
「どれだけ金かかるんだろう」

蜂の巣をつついたような騒ぎになったのだった。

「すべて終えるにはあと3日程度かかります」

昼休憩を終え、午後も7人全員で懸命に作業を続けた。2トントラックと、やや小さなトラック両方が部屋から運び込まれた物でいっぱいになった。

トラックはいっぱいになってしまった
トラックはいっぱいになってしまった(撮影=笹井恵里子)

しかし、まだ部屋には半分以上の荷物が残っている。夕方、駆けつけた依頼人の女性に、溝上さんが状況を説明した。

「処理困難物が多すぎて……。分類に時間がかかり、この作業をすべて終えるにはあと3日程度かかります」

女性が大きくため息をついた。

「私と娘しかいないんですが、昨日も二人で片付けたんです。すでに70リットルのゴミ袋で30袋は捨てているんですけど、みなさんが今日一日やっても終わらないんですね」

溝上さんがうなずき、再び状況を説明する。

結局、続きの作業を後日行うことになった。