入塾準備編 小3から半年で、塾のテストに備えよう
3年生の秋から冬にかけて各塾は新4年生の入塾テストを開始する。西村さんは3年生の4月頃から準備をして「入塾テストで少しでもよい点数をとって上位クラスで入塾すること」をすすめている。
「どの塾も上位クラスにいい先生を配置しています。ハイレベルの塾に下位で入るよりも、少し塾のレベルを下げて上位クラスに入るほうがおすすめです」
では入塾テスト前に具体的にどんな準備をしておけばいいのだろう。
「3年生の1学期に、参考書の『小学3・4年 自由自在』の国語と算数から、3年生のところを解き、学校では習わない応用問題に慣れておきましょう。直前には私が大手塾の入塾テストを分析して作った問題集『中学受験 入塾テストで上位クラスに入るスタートダッシュ 算数・国語』を解くのもおすすめです」
1日30分の学習習慣と親の覚悟
4年生から本格的な塾通いが始まると当然、宿題もすることになる。そうなると家での学習習慣を身につけておくことが大切になる。塾が始まって自然に習慣を身につけられる子もいるが、心配な場合は3年生から1日約30分の学習習慣をつけておこう。
「入塾前に毎日30分勉強できるなら、塾が始まって1時間と時間が延びても対応できるでしょう。学校の宿題と市販のドリルを合わせて30分机に向かう習慣をつけられるといいですね」
一方で、西村さんは、こうした子供の準備と同時に「受験を始める親の覚悟」が必要だと語る。
「子供は大人のように、目標に向けて計画通りに物事を進めることはできません。それを織り込んで受験をサポートすることを家族で話し合うことが必要です。子供が『毎日勉強する』と言っても、『(そのときは)毎日勉強する(気分だった)』というようにかっこの言葉が隠れていると思ったほうがいい」
いざ塾が始まると、思うように成績が上がらなかったり、子供が勉強を嫌がったりすることもあるだろう。「そんな成績ならやめてしまえ」と叱るなど親がカッとなってしまう場面は少なくない。
「残念ながら、こうしたやりとりが頻発している家庭のお子さんの成績は上がりません。特に、親がクラスを上げることを目的にすると、子供は萎縮してしまいます。結果ではなく、過程を認めてやることが大事。計画の一部しかできなくても、少しでもやったことは前進している証拠。『やっているときの集中力はすごかった』などと褒めましょう。こうした積み重ねで親の意見にも耳を傾けてみようという気になるものです」
中学受験はやり方次第で、深い思考力、論理力、工夫する力や諦めない心など、その先の人生に役立つ力が育てられる貴重な機会になる。
「親御さんには『うちの子は大丈夫』といった根拠のない信頼を持ち続けてほしい。そのほうがお子さんはのびのび勉強に打ち込めます」