ある店舗ではじまった実証実験の中身

モノ発想ではなく、コト発想で考えたとき、どんな店づくりができるのか、実証実験を開始したのが、川崎登戸駅前店でした。

チームのメンバーは、商圏の特性を把握することから始めました。商圏には女性が多いことや、高齢化により団塊世代以上が多いことなども判明します。また、1日の乗降客数が20万人を数えながら、駅前に大手居酒屋チェーンは一軒しかありませんでした。

そこで、いわゆる「女子会」のニーズが高いのではないか、「家飲み」の需要も高いのではないかと仮説を立て、女子会や家飲みというコト的なニーズに対応する売り場づくりに挑戦しました。

お客様の行動を予測し、どんな体験を望むかを予想して、仮説を立て、売り場づくりの実験を開始したのです。

品揃えでは、女性が好むフルーツ系のリキュールを大幅に増やし、お酒コーナーの周辺には、従来のような珍味や豆菓子だけでなく、チーズ、生ハム、ピクルス、レバーペイスト、クラッカー、ドライフルーツなどを並べて酒類と一緒に目に入るように陳列し、「お酒のある楽しい食卓」をイメージしてもらえるような、家飲みエリアを設けました。

家飲みの楽しさ、家事の時間短縮を求めていた

また、セブンプレミアムのデリカ惣菜(モノ)について、なぜ売れているのか、お客様にとってのコト的な理由を探ったところ、「個食」「小分けできる」「保存が効く」といった要因が浮かび上がりました。

そこで、共通した要因をもつチルド惣菜と冷凍食品が同時に目に入る場所に陳列し、展開したところ、冷凍食品はセブン‐イレブン全体の平均の5倍の売り上げを記録するまでになりました。

同じようにフリーズドライのみそ汁やスープ類も並列して並べると、1日500円程度だった売り上げが3000円に変化しました。

お客様が望む体験を予想するコト発想が地域のお客様に、家飲みの楽しさや家事の時間短縮といった新たなコト的な需要を生み出し、売り上げアップに大きく貢献したのです。