営業の仕事の本質は「顧客の業務改善」であり、「顧客への営業支援」です。自己と顧客、双方にベネフィットをもたらす仕組みを提案して顧客に喜んでもらうことができれば、その仕事は成功といえるでしょう。
そのためには顧客を知ることとともに、自己の能力開示を行うことです。自社だけではなく、自分自身の能力アピールもぜひ実践してほしい。キャリアや専門領域をわかってもらうために「異動前は技術部門にいたので、技術方面のご相談はお任せください」などといえば相手に響きますし、新人営業マンのファーストコンタクトなら、「野球部出身なので体力とフットワークには自信があります」でもいい。顧客は相手の開示した能力を見定めながら何を任せるかを考えるので、このような個人の特徴や能力のアピールは極めて有効に機能するのです。
また自社のアピールについては、たとえ実績のある会社でも、その内容を顧客目線から語るのを忘れないようにしましょう。「わが社は世界でもトップクラスです」ではただの自慢にしか聞こえませんが、「世界中に拠点があるので、海外進出の際にはきっとお役に立てるはずです」と、顧客にとっての利点を強調しながら伝えれば、相手もぐっと身を乗り出してきます。
日頃、なかなか顧客から有益な情報が得られないと感じているのであれば、それはこの自己開示が不十分であるか、自身が相手に対して抱いている興味が浅いため、相手もそれに見合った表面的な情報しか与えてこないと思ったほうがいいでしょう。