兵士の脳同士を接続してコミュニケーション

極超音速技術 材料工学や制御技術の進展で、ミサイルや航空機の飛翔速度がマッハ5以上の極超音速領域に達する。従来のミサイル防衛システムや防空システムを突破する能力を高める。狙われる空母の脆弱ぜいじゃく性は浮き彫りになる。

神経工学(ニューロテクノロジー) 兵士の脳同士を直接接続してコミュニケーションを行ったり、人間の思考を反映して動く兵器などが出現したりする。

宇宙技術 宇宙輸送の費用が桁違いに安くなることで、これまでに例を見ない大型の人工衛星や多数の衛星コンステレーションを軌道上に配備できるようになり、宇宙を使った偵察、通信、航法能力が飛躍的に拡大する。レーザー迎撃システムが宇宙空間に配備される。他方で、人工衛星を標的とする攻撃が活発化する。

仮想現実・拡張現実 兵士の教育・訓練にかかる期間が大幅に短縮される。未知の戦闘環境にも前もって適応させることが可能となる。

AI(人工知能)のイメージ
写真=iStock.com/metamorworks
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女性軍曹が指揮する「身体能力を強化された部隊」

報告書は、米空軍士官学校関係者の著書からの引用として、「将来の戦場における米国陸軍歩兵部隊の姿」は次のようなものだと紹介している。

女性軍曹が指揮するこの部隊の兵士たちは、パワード・エクソスケルトンで身体能力を強化されている。目に装着したネットワーク接続型コンタクトレンズや脳に埋め込まれた通信機能で戦場全体の情報を入手したり、兵士同士で通信を行ったりすることができる。ヘルメットには脳波検出装置が搭載され、思い浮かべるだけで無人兵器を操ることが可能である。周辺では無数の超小型のドローンのスウォームが飛び回り、戦場全体にばらまかれたセンサーの情報をもとに敵を検出するや、兵器の燃料を分解してしまう酵素を散布したり、人工ウイルスで人間を行動不能にしたりする。彼女らは、仮想現実・拡張現実によるシミュレーションでこれから向かう戦場の地形を熟知しており、未知の戦場でも戸惑うということがない――。