もしも将来「ロシア軍がノルウェーに侵攻」したら…

米ブレント・スコウクロフト・センター研究員の著作からの引用として、ノルウェーに侵攻したロシア軍との戦いを次のように描く。

北村滋、大藪剛史(聞き手・構成)『経済安全保障 異形の大国、中国を直視せよ』(中央公論新社)
北村滋、大藪剛史(聞き手・構成)『経済安全保障 異形の大国、中国を直視せよ』(中央公論新社)

ロシア軍は、AIによって制御される無人車両や、そこから発進するドローンのスウォームを駆使し、強力な電子攻撃でノルウェーに駐留する米軍の指揮統制通信システムを無効化する。ロシアは原子力潜水艦による巡航ミサイル攻撃でノルウェー空軍のF-35戦闘機部隊を地上で壊滅させるが、米軍は地下に隠していた3Dプリンター施設でF-35を修復する。飛行可能となったF-35は、ロシア軍兵士の持つモバイル機器のIPアドレスを収集するといった電子偵察活動を展開し、ロシア軍の指揮通信統制系統を電子地図上に描き出す。

海中では米露の無人潜航艇が展開し、ロシア側の無人潜航艇は、スバールバル諸島の衛星中継基地につながる海底光ケーブルに取り付いて米軍の軍事衛星にマルウェアを送り込む。まさに海中、宇宙、サイバー空間横断戦だ。一方、米軍は、無人潜航艇でロシア原潜のソナーを欺いてP-8対潜哨戒機の攻撃エリアに誘い込んでこれを撃沈するとともに、ノルウェーのF-35が割り出したロシア軍の指揮通信統制システムにサイバー攻撃を仕掛けて直ちにオスロに南進せよとの偽命令を発し、ノルウェー軍の待ち伏せ地域に誘導する――。

これらに必要な高度な科学技術が、他国に流出した場合に、日本が未来の戦争でどうなるか、想像するまでもないだろう。

(聞き手・構成=大藪剛史)
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