2025年から女医急増は待ったなし

2019年4月、働き方改革関連法が始まり「時間外労働上限年720時間」「違反すると刑事罰の可能性」などの厳しい措置が施行されるようになった。

医師に関しては「5年間の猶予」が認められたが、2024年度までもう2年を切っている。2018年、東京医大の女性減点入試発覚を契機に、大規模な男性優先入試が減り、医学生女性率が上昇している。2025年からの女医率が上昇するのは確定事項である。

地方病院の産科医確保はさらなる冬の時代が続くだろう。

空の病院のベッド
写真=iStock.com/LightFieldStudios
※写真はイメージです

2019年、兵庫医科大学ささやま医療センター(兵庫県丹波篠山市)が「産科医2人では安全な分娩が不可能」として分娩休止の方針を表明した。お産を扱うということは産科医が少なくとも1人が常時病院に待機する必要がある。産科医2人で等分しても、1人当たり年間労働時間が4380時間以上となり、年2300時間以上の時間外労働が必須となる。そのための苦渋の決断だった。

ところが地元では反対意見が多く、説明会では「医師2人ではなぜ分娩ができないのか」「臨時的にでも助けてくれる医師を探すことはできないのか」などの質問が相次ぎ、市長は「(話し合いより)業務に専念して」と、議論はかみ合わなかった。結局、その後も応援医師は確保できず、2020年3月をもって分娩は終了している。

今回の輪島病院の新生児死亡の報道は、こういう動きを加速させるだろう。

やはり「病院集約化」しかない

やせ細る一方の地方産科病院への最適な対応策は、集約化しかない。というのが筆者を含む医療の現場を知る者の総意だろう。特に人口100万人以下の過疎県では、地方の小規模産科を「一人医長」のような、過酷な労働環境を強いる“非人道的システム”で維持するのはもうやめるべきだろう。もし、募集したところで「一人医長」案件に応募する若手産科医など皆無であることは目に見えている。

むしろ県庁所在地に大規模産科施設を開設し、医師やスタッフを集約化するしかない。島根県松江市には隠岐諸島の妊婦が妊娠9カ月から滞在できる宿泊施設があるが、同様の安価な母子寮を併設して妊婦に提供すべきだろう。陣痛の救急車使用も解禁するか、あるいは行き先を病院に限定したタクシーチケットを妊婦に配布する。

医師を無理やり僻地に派遣しようとするから、東京に逃げてしまうのだ。むしろ県庁所在地に集めて、シフト制で子持ち女医でも持続可能な無理のない勤務体制を構築することこそが、過疎県が産科医師を確保する唯一の政策となるだろう。

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