「結果的に損になる」生き方

損得勘定ばかりを働かせていると、物事の表面にしか目がいかず本質をとらえることができなくなります。

枡野俊明『やめる練習』(プレジデント社)
枡野俊明『やめる練習』(プレジデント社)

人生で体験することには、損得だけでは測れない切り口がたくさんあります。

面白い、楽しい、美しい、感動する……さまざまな面があるわけですが、損得勘定が先走れば、こうしたものが省かれてしまいます。

人の世界は、心を生き生きとさせる豊かなもので本来成り立っています。損得のものさしばかり使っていると、その豊かさが享受できなくなります。

結果的には損な生き方になってしまうのです。

勝ち負けにこだわる現代人

ひところ、勝ち組、負け組という言葉がはやりました。表面的な勝ち負けの価値判断で人を評価するような雰囲気に、違和感を覚えた人は少なくないと思います。

成果主義が幅をきかせている社会ですから、こうした風潮はどうしても生まれてしまうのでしょう。

子どものころから勉強の競争をさせられ、大人になってからは仕事の競争にエネルギーを使い続け、現代人は強い競争原理のなかに放り込まれた生き方を強いられています。

そうした環境にいると、絶えず誰かと自分を比べ、勝っているとか負けているとかといった評価をし続けることになるのです。