そこに「幸せ」はあるか

「この仕事をやり遂げたら、同期にはもはや敵なしだ」
「あいつには負けるわけにはいかない!」

仕事によるストレスの多くは、こうした勝ち負けの過剰な意識が原因になっているのではないでしょうか。

勝ち負けの意識は、仕事だけにとどまりません。

「A子さんの子どもは名門校に入ったというのに、うちの子はなんでこんなに勉強ができないの……」
「B子の家は海外旅行へしょっちゅう行っているのに、うちにはそんな余裕はとても……」

子どものことから家庭の経済事情まで、ありとあらゆることを他人と比較し、無意識のうちに勝ち負けの気分を感じたりします。

しかし誰かと自分を比べ、勝ち負けの価値評価を常に下し続けることは、とても不幸なことです。

己の内側を光で照らしなさい

勝っても負けても、その人の本質的な値打ちはそれで上がったり下がったりするものではありません。ついしてしまう優劣の比較のほとんどは、世間的な価値観のなかでなされる表面的なものでしかありません。

そんな優劣、勝ち負けの評価は、世間の風向きや環境が変われば、あっという間に変わってしまう頼りないものです。目を外に向けるのではなく、内側にある「自分の心」に向けましょう。

回向返照えこうへんしょうという禅語があります。「外ばかり見ないで己の内側を光で照らしなさい」という意味です。心のなかを明るく照らして自分とじっくり向き合えば、人からの評価など気にせず、何を本当にすべきかが見えてきます。