部下が大きな発注ミスをしたらどう反応するか

ここで一つ問題を出しますので考えてみてください。

もしもあなたが上司なら、次のケースでどのように指導しますか? 部下がいない場合でも、あなたの下に新入社員が配属されてきた想定でお考えください。

新入社員のAさんは商品の手配で発注のうっかりミスで誤入力をしてしまいました。実際の注文よりゼロが一桁多くなるミス。気づいたAさんは、直属の上司に相談したいのに出張で不在。隣の部署のベテラン社員に声をかけますが、クレーム対応の電話中で相談できず。そのまま別の発注がかかり、報告が遅れ多くの人に迷惑をかける事態になりました。

さて、この状況であなたならどのように反応しますか? 「普通は桁を間違えるミスはしないよね」と怒りますか? それとも、「雑な性格だね、一般的にはもっと確認作業をするでしょう」と、性格面まで踏み込んで冷めた口調で反応しますか?

「コト」に着目すると具体的な有効手段をとれる

この事例の場合、大きなミスなので上司の立場なら一瞬、頭が熱くなることがあるかもしれませんね。

ただ、Aさんを責めたところで問題が解決するか、失敗を繰り返さないようにできるかといえばそんなことはありません。ましてや新入社員の場合は、失敗することを前提にサポートをする必要があります。

鈴木進介『頭のldquo;よはくrdquo;のつくり方』(日本実業出版社)
鈴木進介『頭の“よはく”のつくり方』(日本実業出版社)

起きた「コト」を充分に吟味し、原因から解決策まで冷静に道筋を考えない限り、また同じ失敗をいつか繰り返すことになるでしょう。

ヒトに注目した場合、今さら変えることができない性格や気持ちのようなあいまいなことを責めてしまいます。

逆にコトに着目した場合、怒りで頭に余裕をなくすことなく、たとえばミスの予防策と教育に原因があるなら、マニュアル制作と研修という具体的な有効手段をとれるようになるでしょう。

このようにネガティブな状況に陥ったら、「コト」に着目して寄り添いながら冷静に対処しましょう。逆に、ポジティブな場面では、「ヒト」に焦点を当てて、愛情や励ましなどの気持ちを込めて、新入社員に対応するスタンスが求められます。

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