「どっちが日本代表ですか?」
たとえば、ラグビーW杯2019日本大会で、100万人近い人を集め、「にわかファン」という流行語を生みだした「丸の内15丁目プロジェクト」。このプロジェクトの始まりは、まさに「素人の違和感」からでした。
2018年、NHKを卒業したばかりの僕は、人生で初めてラグビーを見ました。それまでラグビーというスポーツに一度も関心を持ったことのない僕でしたが、ラグビーW杯のスポンサーに決まった三菱地所の担当者、高田晋作さんに「プロジェクトを手伝ってほしい」と声をかけてもらったのがきっかけで、まずは試合を見るところから始めることに。
ちなみに高田さんは、NHK山形放送局時代の僕の先輩で、その後三菱地所に転職をされた方なのですが、実はこの人、ラグビー界のレジェンドなんです。慶應義塾大学ラグビー部創設100周年の時のキャプテンで、大学日本一を成し遂げた人なんですね。
高田さんのご自宅に遊びに行った時、無造作にスポーツ誌の最高峰『Number』が置いてあって、その表紙にラガーマンが写っていたので、「これ誰ですか?」と聞いたら、「それ、俺」と言われました。あんた、『Number』の表紙飾ってたのかよ……(なんで今NHKでブナの森の番組とか作ってるんだよって心から思ったのは内緒です)。
そんなレジェンド高田さんに連れられて、僕は人生で初めてラグビーを見たのですが、僕の第一声は「どっちが日本代表ですか?」でした。
いや、ほんと、すいません。レジェンドになんという失礼な質問を……と思ったのですが、本当に分からなかったんです。
ラグビーチームは「ダイバーシティ&インクルージョン」
一見すると、どちらのチームも外国人ばかり。勝手に思い描いていた日本代表像とは全然違う風景を目の前にして、僕は混乱していたのです。むしろ、なんでみんなふつうに見られるの? とすら思っていました。
しかし、同時にこの瞬間、自分の中にラグビーとの接点が初めて生まれたことに気づきました。ラグビーでは、日本の多くの企業が悩んでいる「ダイバーシティ&インクルージョン」の問題が解決していると思ったのです。
これはすごい! と素直に思いましたし、がぜん興味が湧いてきました。